GCashが月995ペソの医療保障HMOを開始:フリーランス在比日本人の備え方
GCashが月995ペソで始めたHMO(医療保障)を徹底解説。フリーランスや個人事業で働く在フィリピン日本人や、フィリピン進出を検討する日本企業向けに、保障内容の確認や支払い準備、加入時の注意点を実務目線でまとめました。

GCash(ジーキャッシュ)が月995ペソの医療保障を開始:フリーランスや個人事業の在比日本人こそ知っておきたい選択肢
フィリピンの電子マネー大手GCashが始めた月995ペソのHMO(医療保障)について、自営やフリーランスの在比日本人が知っておきたい加入判断と実務のポイントを解説します。
フィリピンの電子マネー大手GCash(ジーキャッシュ)が、月々995ペソから入れるHMO(医療保障を提供する会員制の仕組み)の販売を始めました。対象はギグワーカー(単発や短期の仕事で稼ぐ人)やパートタイムで働く人で、会社の福利厚生がない立場の人でも入りやすい商品です。フィリピンで自営やフリーランスとして働く在比日本人にとって、これは「もしものときの医療費」をどう備えるかを考える良いきっかけになります。本記事は2026年7月16日時点の公開情報をもとにしています。
Part 1: このニュースが、あなたの暮らしにどう関係するか
このニュースの背景と、在比日本人にとっての意味
フィリピンでは、勤め先が用意してくれるHMOに入っていないと、病気やけがのときの費用が重くのしかかります。ボストン・コンサルティング・グループの調査によると、フィリピンの家庭の64パーセントは、1万ペソ(日本円で概算2万6千円ほど)の入院費を借金なしでは払えないとされています。会社員なら会社のHMOに守られますが、自営やフリーランスは、その安全網の外に置かれがちです。
在比日本人でも事情は似ています。日本の会社を辞めてマニラに移り、フリーランスや個人事業で働く人は、日本の健康保険からも、フィリピンの会社の福利厚生からも外れた状態になりやすいのです。歯の治療ひとつでも、現地では現金払いが基本ですし、思わぬ過剰請求に遭うこともあります。私は以前、日本で入れた銀歯が外れた50代の女性の歯科受診をお手伝いしました。保険なしの現金払いで約1,500ペソ(概算3,900円ほど)、付け直すだけなので1回で終わりました。金額としては小さくても、「保険がない状態で医療にかかる」という現実は、移住してから初めて実感する人が多いところです。
今回のGCashの動きは、こうした「守られていない層」に向けた商品です。GCashを運営するMynt(ミント)社の新規事業責任者であるWinsley Bangit(ウィンズリー・バンギット)氏は、稼ぎ頭とその家族が費用の心配なく医療を受けられれば、健康だけでなく家計の将来も守れる、と述べています。移住を検討している人にとっては、「現地で自営を始めても、月1,000ペソ未満で最低限の医療保障を持てる」という選択肢が増えた、と受け止めておくとよいでしょう。
要点を整理する
本記事は2026年7月16日時点の公開情報をもとにしています。数値やサービス内容は変わることがあるため、加入前には必ず最新の公式発表をご確認ください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 何が起きたか | GCashが医療保障(HMO)市場に参入し、保険会社KwikCare(クウィックケア)と組んだ商品をGInsure上で販売開始 |
| 主な対象 | ギグワーカーやパートタイムで働く低所得層 |
| 月額 | 995ペソから(概算2,600円ほど) |
| 保障の範囲 | 入院、外来、緊急、検査などのサービス |
| 利用できる医療機関 | 2,000か所超 |
| 保障の上限 | 最大35万ペソ(概算91万円ほど)、傷害補償は100万ペソ(概算260万円ほど) |
| 家族 | 家族を追加して保障を広げられる |
| 申し込み | 数分で完了できる手軽さ |
| 背景の規模 | GCashの利用者は9,400万人 |
philstar — 「GCash enters retail HMO market via KwikCare」(2026年7月16日)
この表は情報提供を目的に、公開情報の事実をもとに作成したものです。詳細は上記リンクの元記事をご確認ください。
関連: フィリピン会社設立後の給与計算|SSS・PhilHealth・Pag-IBIGの金額と納付手続き で詳しく解説しています。
Part 2: あなたの暮らしへの影響と、現地での動き方
在比日本人としての動き方
「月1,000ペソ未満で医療保障が持てるなら試したい」と感じた人も多いはずです。ただ、フィリピンの保険や会員制サービスは、日本の感覚のまま進めると戸惑う点があります。次の順序で確認していくと安心です。
まずは、自分がどの保障の外にいるかを整理します。日本の健康保険は、日本を離れて住民票を抜くと使えなくなるのが基本です。フィリピンの会社に雇われていないなら、会社のHMOにも入っていません。つまり「無保障」の状態になっていないかを、最初に確かめてください。
次に、支払いに使うGCashのアカウントを整えます。GCashの一部機能は、フィリピンの本人確認(KYC)を済ませていないと使えないことがあります。銀行口座やデビットカードと連携させておくと、月額の引き落としがスムーズです。私は2024年に、マニラ在住の60代男性の銀行口座開設をお手伝いしました。大手のBDOで普通預金の口座を開き、VISAデビット付きのカードも作りました。このデビットカードはNetflixやネット回線、LazadaやShopeeなど、ほとんどの支払いに使えて、その方はクレジットカードが不要になったほどです。GCashと銀行を紐づけておくと、こうした月額課金の管理がぐっと楽になります。
そのうえで、保障の中身を具体的に読みます。上限額や、外来と入院のどこまでが対象かは、商品によって細かく違います。2,000か所超の医療機関で使えるとされていますが、自分の家の近くや、いつも行く病院が対象かどうかは、加入前に一覧で確かめてください。
最後に、家族の分をどうするかを決めます。家族を追加して保障を広げられる設計なので、フィリピン人の配偶者やお子さんがいる人は、家族分も含めて総額を試算しておくと後悔しません。
| やること | フィリシピン特有の注意点 |
|---|---|
| 保障の空白を確認 | 日本の健康保険は原則使えず、会社員でなければ会社HMOもない |
| GCashを整える | 本人確認(KYC)と、銀行口座やデビットカードの連携を先に済ませる |
| 保障内容を読む | 上限35万ペソ、傷害100万ペソなど。外来・入院・検査の範囲を確認 |
| 対応医療機関を確認 | 2,000か所超のうち、自宅近くや通院先が入っているかを一覧で確かめる |
| 家族分を試算 | 家族を追加できるため、配偶者や子どもを含めた総額を先に計算する |
よくある失敗と対策
医療の備えは、入るときよりも「使うとき」で差が出ます。フィリピンならではのつまずきを、あらかじめ知っておきましょう。
ひとつ目は、月額の安さだけで決めてしまう失敗です。995ペソという価格は魅力ですが、保障の上限や対象外の項目を読まずに入ると、いざというときに「これは対象外です」と言われかねません。
NG例: 月995ペソと聞いてすぐに申し込み、上限額や外来の扱いを確認しませんでした。
OK例: 上限35万ペソと傷害100万ペソの範囲を読み、どんな治療が対象外かまで確かめてから加入しました。
ふたつ目は、対応する医療機関を確かめない失敗です。安い会員制サービスほど、使える病院が限られることがあります。自宅の近くで使えないと、緊急のときに意味が薄れてしまいます。
NG例: 加入だけ済ませ、どの病院で使えるかを調べませんでした。
OK例: 家の近くの病院と、いつも行くクリニックが対応リストにあるかを、先に確認しました。
三つ目は、保障がある安心から、現地の医療事情に無防備になる失敗です。フィリピンでは、頼んでいないクリーニングをされたり、不要なレントゲンで追加請求されたりすることがあります。私が歯科受診をお手伝いしたときも、ローカルの激安クリニックではなく、大病院のなかの歯科や評判のよいところをあえて選びました。過剰な治療を見抜くには、保険や保障があるかどうかとは別に、現地での判断が要ります。
NG例: 保障があるからと、どの病院でも同じだろうと考え、値段だけで一番安い歯科に行きました。
OK例: 大病院内の歯科や評判のよいところを選び、不要な治療をすすめられていないかを、その場で確かめました。
関連: フィリピンの会社設立で要注意!ダミー禁止法(Anti-Dummy Law)の名義貸しリスクと対策 で詳しく解説しています。
Part 3: もっと深く知る
関連する用語・制度
HMO(医療保障を提供する会員制の仕組み)は、月々の会費を払っておくと、提携する病院やクリニックで医療サービスを受けられる仕組みです。日本の公的な健康保険とは違い、民間のサービスで、使える医療機関や保障の上限があらかじめ決まっています。フィリピンでは会社員が福利厚生として持っていることが多く、今回のように個人が単体で入れる安い商品は、まだ新しい動きです。
GInsure(ジーインシュア)は、GCashのアプリのなかで保険や保障の商品を扱う入り口です。今回のHMOも、このGInsureの上で販売されています。アプリのなかで完結するので、窓口に足を運ばずに申し込める手軽さが特徴です。
KwikCare(クウィックケア)は、今回GCashと組んだ、月額の会費制で保障を提供する保険会社です。同社のCEOであるHamilton Angluben(ハミルトン・アングルベン)氏は、9,400万人というGCashの利用者を通じて医療保障へのアクセスを広げられる、と述べています。フィリピンでは、こうした新しい会員制サービスが次々に登場しています。
PhilHealth(フィルヘルス、フィリピンの公的医療保険)は、フィリピン政府が運営する医療保険です。今回のニュースの主役ではありませんが、フィリピンで働く人が最初に押さえておくべき公的な制度です。民間のHMOは、この公的保険では足りない部分を補う位置づけで使われることが多いので、両者の違いを知っておくと、自分にどこまでの備えが要るかが見えてきます。
ギグワーカー(単発や短期の仕事で稼ぐ人)は、今回の商品がねらう中心の層です。元記事では、会社の後ろ盾がないギグワーカーほど安全網が乏しく、一度の病気で貧困に陥りかねない、と指摘されています。フリーランスで働く在比日本人も、立場としてはこの層に近いといえます。
Part 4: よくある質問(FAQ)
日本の健康保険はフィリピンでも使えますか。フィリピンのHMOに入る必要はありますか。
日本を離れて住民票を抜くと、日本の公的な健康保険は原則として使えなくなります。旅行者向けの海外旅行保険とは別に、長く住むならフィリピン側の備えを考えるのが現実的です。今回のような月995ペソのHMOは、その入り口として検討できます。ただし公的なPhilHealth(フィリピンの公的医療保険)と民間のHMOは役割が違うので、両方を見比べてから決めてください。
フリーランスやギグワーカーの在比日本人でも、このHMOに入れますか。
この商品はまさにギグワーカーやパートタイムで働く人に向けて作られています。ですから立場としては合っています。ただ、外国人が加入できる条件や必要書類は、商品ごとに細かく定められていることがあります。国籍やビザの種類で制限がないか、申し込みの前にGCashやKwikCareの案内で確かめておくと安心です。
月々の995ペソは、どう支払うのですか。
GCashのアプリのなかで契約するので、支払いもGCashを通じて行うのが基本です。GCashの残高が足りないと引き落としに失敗することがあるので、銀行口座やデビットカードを連携させておくと安心です。私がお手伝いしたBDOの口座開設では、VISAデビット付きのカードを作りました。このカードは多くの月額サービスの支払いに使えて便利ですから、GCashと合わせて整えておくと、こうした会費の管理が楽になります。
このHMOで、どんな治療まで受けられますか。
元記事によれば、入院、外来、緊急、検査などのサービスが対象で、保障の上限は最大35万ペソ(概算91万円ほど)、傷害補償は100万ペソ(概算260万円ほど)とされています。ただし、何が対象外になるかは商品の細かい条件で決まります。歯科や特定の高額治療などが含まれるかは、加入前に必ず一覧で確認してください。制度や条件は変わることがあるので、最新の公式案内をご確認ください。
家族も一緒に保障できますか。
家族を追加して保障を広げられる設計です。フィリピン人の配偶者やお子さんがいる人は、家族分も含めた総額を先に試算しておくとよいでしょう。誰を追加できるか、追加でいくらかかるかは商品ごとに異なるので、申し込みの画面で一人ずつ確かめながら進めてください。
活用のコツ(3 Tips)
まず自分の「保障の空白」を紙に書き出しましょう。 日本の健康保険が使えるのか、フィリピンの会社HMOに入っているのか、公的なPhilHealthはどうかを一覧にすると、今の自分にどこまでの備えが足りないかがはっきり見えてきます。
加入前に、自宅近くの病院が対応リストにあるかを確認しましょう。 安いHMOほど使える医療機関が限られます。緊急のときに近所で使えなければ意味が薄れるので、通院先が2,000か所超のリストに入っているかを先に調べておくと安心です。
支払い用のGCashと銀行口座を先に整えておきましょう。 本人確認(KYC)を済ませ、銀行口座やデビットカードを連携させておけば、月額の引き落としでつまずきません。医療の備えは「使うとき」に効くので、支払いの土台から整えておくのがおすすめです。
ボーナス: マニラ日本人サポートの活用法
「フリーランスで移住したいけれど、医療の備えが不安」「GCashやフィリピンの保険まわりが日本語で分からない」というときは、私たちマニラ日本人サポートにご相談ください。フィリピン永住権を持ち、自らマニラに移住した日本人が、日本語だけで完結する形でお手伝いします。
このテーマに関連して、次のようなご相談をお受けできます。
まず、GCashの本人確認や銀行口座の開設、デビットカードの発行といった、支払いの土台づくりのお手伝いです。私は実際に、BDOでの口座開設からVISAデビットカードの受け取りまで、書類の準備・予約・銀行への同行・通訳を通しで対応してきました。
次に、フリーランスとして働くための下地づくりです。報酬の受け取りに必要なTIN(納税者番号)の取得など、移住後の仕事と収入まわりの手続きにも同行できます。
そして、病院やクリニックの受診への同行と通訳です。過剰な治療を見抜きにくい場面でも、現地経験のある日本人が間に入ることで安心して受診できます。
初回相談は無料です。まずはお気軽にご相談ください。

