マニラのコンド売れ残り8万2,900戸で過去最多——在比日本人の賃貸・購入判断のポイント
メトロマニラのコンド売れ残りが過去最多8万2,900戸に達し、マカティなど多くの地区で家賃も下落。フィリピン在住の日本人や進出企業に向けて、賃貸交渉・物件購入・契約時の注意点を現地の実務目線でわかりやすく整理します。

マニラのコンド売れ残りが過去最多8万2,900戸に——家賃も下落、いま「借りる人・買う人」はどう動くか
2026年第2四半期にメトロマニラの分譲マンション在庫が過去最多を記録し、家賃も下落傾向です。在フィリピン日本人が今どう賃貸・購入を判断すべきか、現地の相場と実務の視点で解説します。
メトロマニラ(首都圏)で売れ残りの分譲マンション(コンドミニアム)が、2026年第2四半期に過去最多の8万2,900戸に達したと、不動産コンサル会社のLPC(リーチュー・プロパティ・コンサルタンツ)が報告しました。あわせて、マカティなど多くのビジネス街の家賃が、いまだにコロナ前の水準を下回っていることも示されています。これは在比日本人にとって「住まいの選択肢が増え、家賃交渉もしやすい」という追い風であり、コンドを買おうとしている人には「価格の見きわめ」がより大切になる話でもあります。本記事は2026年7月7日時点の公開情報をもとにしています。相場や数値は動きますので、最終的にはご自身で最新の情報をご確認ください。
Part 1: このニュースが、あなたの暮らしにどう関係するか
このニュースの背景と、在比日本人にとっての意味
マニラで暮らす日本人の多くは、コンドミニアム(分譲マンション)を借りるか、あるいは自分で買って住んでいます。ですから「コンドが売れ残っている」「家賃がコロナ前より安い」というニュースは、遠い経済の話ではなく、毎月の家賃や住み替えの判断に直に関わってきます。
今回のポイントは、売れ残りが過去最多でも、市場が悪化しているとは限らないという点です。LPCのゴレス氏は、在庫が過去最多でも、数字が示すよりは健全な状態にあると述べています。その理由として、2025年の在庫が8万2,500戸だったのに対し、今は8万2,900戸だが、買い手(テイクアップ)が増えているため、在庫が消化されるまでの月数はむしろ短くなっていると説明されています。つまり「新しい供給がやや抑えられ、売れ行きは上向いている」という流れです。
借りる側・買う側の日本人にとって、これはおおむね有利な材料です。売れ残りが多く、家賃も下がっている局面では、貸し手や売り手が条件面で歩み寄りやすくなります。私はマカティで家族4人のコンド賃貸をお手伝いしたことがあります。新築の有名コンドで家賃は月3万7,000ペソ(1ペソ=約2.6円として、おおよそ9万6,000円の概算)、前家賃と保証金で家賃2か月分、仲介手数料は家賃の1割ほどでした。5件ほど内見してすぐに部屋は決まりましたが、契約書を交わすまでに2週間ほどかかりました。今のように選択肢が多い時期は、こうした内見や家賃交渉で強気に動きやすいと感じています。
要点を整理する
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 何が起きたか | メトロマニラの売れ残りコンドが2026年第2四半期に過去最多の8万2,900戸に |
| 過去最多の基準 | LPCが少なくとも2016年に集計を始めて以降で最高 |
| 前年との比較 | 2025年は8万2,500戸。戸数は増えたが在庫消化までの月数は前年より短い |
| 在庫消化の見込み | 現在の在庫は約34か月(ほぼ3年)で吸収される見込み。過去平均は最長12か月 |
| 供給と売れ行き | 2026年上半期の新規供給は4,900戸(前年比18%増)、売れ行きは6%増の1万4,500戸 |
| 家賃の動き | 多くのビジネス街でコロナ前を下回る。マカティは18%下落し1平米あたり887ペソ |
| 家賃が上がった地区 | BGCが0.1%上昇し1,105ペソ、タギッグが15%上昇し715ペソ(いずれも1平米あたり) |
| 価格の見通し | 家賃下落を受け、中古・新築とも価格は下落している可能性が高いとの見方 |
GMA News — 「Metro Manila unsold condo inventory reaches record 82,900 units」(2026年7月7日) この表は情報提供を目的に、公開情報の事実をもとに作成したものです。詳細は上記リンクの元記事をご確認ください。
関連: マカティ移住の住まい選び|日本人に人気のコンドミニアムエリアと賃貸相場 で詳しく解説しています。
Part 2: あなたの暮らしへの影響と、現地での動き方
在比日本人としての動き方
供給が多く家賃も落ち着いている今は、住まいの見直しや初めての賃貸契約に向いた時期です。ただしフィリピンの賃貸には独特の段取りがありますので、順を追って動きましょう。
まず、住みたいエリアの家賃相場をつかみます。今回のニュースはエリアごとの温度差を教えてくれます。マカティの家賃は下がっている一方で、BGCとタギッグは上昇しました。同じ首都圏でも地区で動きが違うので、候補を2〜3地区に絞って比べると判断しやすくなります。
次に、複数の物件を内見します。フィリピンのコンドは同じ建物でもオーナーごとに状態や管理姿勢がまるで違います。最低でも4〜5件は見て、部屋の設備だけでなく、断水や停電の頻度、管理室の対応も確かめてください。私は、いざというとき階段で昇り降りできる階の部屋を選ぶようにしています。停電でエレベーターが止まっても困らないためです。
そのうえで家賃と初期費用を交渉します。フィリピンの賃貸では、前家賃と保証金で家賃2か月分ほど、仲介手数料は家賃の1割ほどが目安です。売れ残りが多い今は、家賃そのものだけでなく、無料期間や家具付き条件でも交渉の余地があります。
契約書は必ず一つずつ確かめます。契約期間、値上げの条件、保証金の返還時期、修繕の負担、解約時の通知期間などは、後のトラブルに直結します。英語の契約書に不安があるときは、日本語で内容を確認できる人に間に入ってもらうと安心です。
買う場合は、価格の下落局面である点を踏まえて焦らないことが大切です。ゴレス氏は、家賃の下落を受けて、中古のコンド価格も、新築の価格も下落している可能性が高いと述べています。値引き交渉や引き渡し時期の調整がしやすい時期ですので、複数物件を比べる余裕を持ちましょう。
| ステップ | やること | フィリピン特有の注意点 |
|---|---|---|
| 相場を調べる | 候補エリアの家賃を2〜3地区で比較する | 地区差が大きい。マカティは下落、BGC・タギッグは上昇 |
| 内見する | 4〜5件以上を見て設備と管理を確認する | 断水・停電の頻度、管理室の対応、階段で動ける階かを確認 |
| 交渉する | 家賃・初期費用・条件を交渉する | 前家賃+保証金で約2か月分、仲介手数料は家賃の約1割 |
| 契約書を確認する | 期間・返還・修繕・解約条件を一つずつ確認 | 英語契約は日本語で確認できる人を間に入れると安心 |
| (購入時)比較する | 焦らず複数物件と価格を比較する | 価格下落の局面。値引きや引き渡し時期の交渉がしやすい |
よくある失敗と対策
一つ目は、内見を1〜2件で決めてしまう失敗です。相場も管理姿勢も比べないまま契約すると、後から「もっと良い部屋があった」と気づきがちです。今は物件が多い時期ですから、面倒でも複数見て比べましょう。
NG例: 「見た目がきれいだったので、最初に内見した1件ですぐ契約しました。」
OK例: 「家賃と管理の対応を比べたくて5件内見し、断水の頻度も聞いてから決めました。」
二つ目は、管理や近隣トラブルの下調べを省く失敗です。私が関わったある賃貸では、入居して1年ほど経ったころから、別の内見希望者が管理人と一緒にマスターキーで部屋に入ってくることが、在室中だけでも5回ほどありました。留守中にも入られた可能性があり、オーナーと管理人に問い詰めても答えませんでした。契約にあったケーブルテレビも途中で使えなくなりました。フィリピンの賃貸は当たり外れがあり、言うべきことを言える人が間に入るかどうかで結果が変わります。契約前に、管理室の評判やオーナーの対応を確かめておきましょう。
NG例: 「部屋の中だけ確認して、管理会社やオーナーの評判は特に調べませんでした。」
OK例: 「入居者向けのグループチャットの有無や管理室の対応を確認し、オーナーの連絡先も押さえておきました。」
三つ目は、保証金の返還条件を軽く見る失敗です。フィリピンでは「1か月以内に返す」という契約でも、実際にはもっと遅れることがよくあります。私の退去のときも、契約では前金と保証金は1か月以内の返金でしたが、実際は2か月後でした。オーナーが「手渡しするから取りに来い」と言ったので、「こちらの口座に振り込んでほしい」と伝えたら、その通りにしてくれました。1か月の約束が2か月後になるのはフィリピンではよくあることです。返還の時期と方法は、契約書に具体的に書いておきましょう。
NG例: 「保証金は当然すぐ戻ると思い、返還時期は口約束だけで済ませました。」
OK例: 「返還は退去後◯日以内・指定口座へ振込、と契約書に明記してもらいました。」
関連: マカティでオフィスを借りる!賃貸契約の相場と初期費用の内訳 で詳しく解説しています。
Part 3: もっと深く知る
関連する用語・制度
テイクアップ(take-up、実際に売れた戸数)は、市場の売れ行きを見るときの基本の指標です。今回のニュースでは、上半期のテイクアップが前年から6%増えて1万4,500戸になったと示されました。在庫の戸数だけを見ると不安になりますが、テイクアップが伸びていれば、在庫が消化されるまでの期間はむしろ短くなります。数字は「戸数」と「売れ行き」の両方をあわせて読むのがコツです。
在庫消化期間(アブソープション、月数供給)は、いまの在庫が売れきるまでにかかる見込みの月数です。今回は約34か月(ほぼ3年)で、過去平均の最長12か月より長い水準です。買う側から見れば、供給が多く消化に時間がかかる局面ほど、売り手が価格や条件で歩み寄りやすい時期だと読めます。
プライマリー市場とセカンダリー市場は、コンドの「新築(デベロッパーからの一次販売)」と「中古(すでに所有者がいる物件の再販)」を指します。今回のニュースでは、家賃の下落を受けて、この両方の価格が下がっている可能性が高いとされています。中古はオーナーとの直接交渉になりやすく、新築はデベロッパーの販促条件が付くことが多い、という違いを押さえておくと選びやすくなります。
SRRV(特別居住退職者ビザ、退職者向けの永住ビザ)は、コンドと相性の深い制度です。クラシックと呼ばれる種類では、預託金を分譲マンションや長期リースへの投資に転用できます(最低5万米ドル以上)。一方のスマイルは預託金を引き出せませんが、ビザ解約時に返金されます。申請にはフィリピン退職庁(PRA)での手続きが必要で、条件は変わることがあるため、申請のたびにPRAで最新を確認します。私は60代男性のSRRVスマイル取得をお手伝いしたことがあり、当時の預託金は2万米ドル、これに毎年の年会費がかかりました。PRAへの同行や通訳、健康診断の付き添いまで通しで対応しました。
仲介手数料と保証金は、フィリピンで部屋を借りるときの初期費用の中心です。目安として、前家賃と保証金で家賃2か月分ほど、仲介手数料は家賃の1割ほどがかかります。退去時の保証金の返還は遅れがちなので、契約書に返還の時期と方法を書いておくことが、後のトラブルを防ぐ近道です。
Part 4: よくある質問(FAQ)
Q. 家賃が下がっているなら、いま借りるのはお得ですか? 多くのビジネス街ではコロナ前より家賃が下がっており、借りる側には交渉しやすい時期だといえます。ただし地区差が大きく、BGCとタギッグは上昇しました。エリアによって動きが逆なので、住みたい地区の相場を必ず確かめてから判断してください。数値は変わりますので、契約時点の最新の相場で見比べるのが安全です。
Q. 売れ残りが過去最多だと、市場は危ないのではないですか? 戸数だけを見ると不安になりますが、今回は売れ行きが伸びていて、在庫が消化されるまでの期間はむしろ前年より短いとされています。過去最多という言葉の印象と、実際の売れ行きは別に読む必要があります。とはいえ市場は動きますので、最新の公表を確認しながら判断しましょう。
Q. 買うなら今と待つのと、どちらがよいですか? 価格が下落している可能性が高い局面なので、焦らず複数の物件と価格を比べるのに向いた時期です。買い時の判断はご自身の資金計画や滞在予定によります。ここでは断定できませんので、住宅ローンや税の負担も含めて、専門家に相談しながら決めてください。
Q. 賃貸の初期費用はどれくらいかかりますか? 目安として、前家賃と保証金で家賃2か月分ほど、仲介手数料は家賃の1割ほどが必要です。私がお手伝いしたマカティの家族4人の賃貸では、家賃が月3万7,000ペソ(1ペソ=約2.6円としておおよそ9万6,000円の概算)でした。物件や条件で変わりますので、内見のときに初期費用の内訳も確認しておくと安心です。
Q. 退去のとき、保証金はちゃんと返ってきますか? 契約に「1か月以内」と書いてあっても、実際には遅れることがよくあります。私の退去のときも、実際に戻ったのは2か月後でした。手渡しではなく口座振込を希望したら、その通りにしてくれました。返還の時期と方法を契約書に具体的に書いておき、退去時の写真も残しておくとやりとりがスムーズです。
活用のコツ(3 Tips)
住みたいエリアを2〜3地区に絞って家賃を比べる 同じ首都圏でも、マカティは下落、BGC・タギッグは上昇と動きが逆でした。候補を絞って相場を比べると、割安な地区や交渉の余地を見つけやすくなります。
内見は最低4〜5件、管理と災害への強さまで確認する 部屋の見た目だけでなく、断水や停電の頻度、管理室の対応、階段で動ける階かどうかまで見ておきましょう。物件が多い今は、比べる余裕を持てる時期です。
契約書に保証金の返還時期と方法を明記してもらう 「◯日以内に指定口座へ振込」と具体的に書いておくと、退去時のトラブルをかなり減らせます。口約束で済ませないことが大切です。
ボーナス: マニラ日本人サポートの活用法
マニラで住まいを借りる・買う・住み替えるときは、内見の同行から家賃交渉、契約書の確認まで、日本語だけで進められると安心です。私はフィリピンの永住権を持ち、自らマニラに移住した日本人として、暮らしの実務を一つずつお手伝いしています。
次のステップとして、たとえばこんなご相談ができます。
- コンドの内見同行、家賃交渉、英語契約書の日本語での確認
- 退去時の保証金の返還交渉や、オーナー・管理室とのやりとりの通訳
- SRRV(退職者向けの永住ビザ)とコンド購入・長期リースを組み合わせた住まいの検討
初回相談は無料です。まずはお気軽にご相談ください。日本語だけで完結します。

