マニラ経済特区が再解禁へ|PEZA優遇オフィス拡大と在比日本企業のビジネス影響

フィリピン・マニラ首都圏で経済特区(エコゾーン)規制の撤廃が前進。PEZA優遇オフィスの拡大が、フィリピン進出する日本企業や在フィリピン日本人の拠点選び・会社設立・税優遇にどう影響するかを実務目線でわかりやすく解説します。

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フィリピン永住権・マニラ在住13年以上 / 移住・ビザ・ビジネスを日本語でサポート

マニラ経済特区が再解禁へ|PEZA優遇オフィス拡大と在比日本企業のビジネス影響

首都マニラで経済特区が再び解禁へ──PEZA優遇オフィスの拡大が、在比日本人のビジネスにどう響くか

フィリピン政府がマニラ首都圏のエコゾーン規制(AO 18)撤廃へ動き出しました。PEZA優遇オフィスの拡大が、現地進出する日本企業の拠点選びや会社設立にどう関わるかを実務目線で解説します。

フィリピンの貿易産業省(DTI)が、首都圏マニラでの新しい経済特区(エコゾーン)の認可を止めてきた古い規制を、解除する方向で前進させました。これはドゥテルテ前政権が2019年に出した「行政命令第18号(AO 18)」を撤廃する動きで、マルコス大統領の最終承認を待つ段階にあります。一見すると企業や行政の話に思えますが、首都圏でビジネスをする、あるいはこれから会社をつくろうとする在比日本人にとっては、オフィス選びや税の優遇に関わる身近な話題です。本記事は2026年6月29日時点の公開情報をもとにしています。状況は今後の大統領の判断で変わりうるため、最新の公式発表もあわせてご確認ください。


Part 1: このニュースが、あなたの暮らしにどう関係するか

このニュースの背景と、在比日本人にとっての意味

まず言葉の整理からはじめます。エコゾーン(経済特区)とは、フィリピン経済区庁(PEZA、ペサ)が認可した区域や建物のことです。PEZAの優遇を受けたい登録企業は、原則としてPEZAが認可した建物の中で事業を行う必要があります。そのため、認可されたオフィスがどこにあるかは、企業が拠点を決めるうえで大きな判断材料になります。

今回のニュースの中心は、この認可をめぐる規制の撤廃です。2019年にドゥテルテ前大統領が出したAO 18は、投資を地方に向かわせる目的で、首都圏マニラでの新しいエコゾーン申請の受け付けや審査をPEZAに止めさせるものでした。つまりこの数年、首都圏では新しい優遇オフィスがほとんど生まれにくい状態が続いていたのです。

在比日本人にとっての意味は、業種によって少し変わります。コールセンターやIT開発、業務委託といった、いわゆるIT-BPM(情報技術と業務委託)の分野で働く方や経営する方には、特に関係が深い話です。不動産コンサルティング会社のコリアーズによれば、2026年第1四半期のIT-BPMオフィス取引の約7割が、依然として首都圏マニラに集中していました。残りの3割が地方で、そのうち半分以上はセブとイロイロに集まっていたとされています。需要は首都圏に厚いままなので、規制が外れれば首都圏で優遇オフィスの選択肢が増える可能性があります。

私自身、日本で20年ほど美容師をされていた方のマニラでの美容院開業をお手伝いしたことがあります。フィリピン人女性と結婚された方で、奥さま名義の法人をつくり、配偶者ビザにあたる13(a)ビザを組み合わせて、完全に合法な形に整えました。そのとき手続きで通ったのが、まさに今回ニュースに出てくるDTI(貿易産業省)の事業登録や、市役所のMayor's Permit(市の営業許可)、BIR(内国歳入庁)の登録でした。許認可は思ったよりすんなり通りましたが、「自分の事業がどの優遇制度に当てはまるのか」を最初に整理しておくことの大切さを、このとき強く感じました。今回のような制度の動きは、これから会社をつくる方の選択肢に直接かかわってきます。

関連: フィリピン会社設立の第一歩|SEC(証券取引委員会)登録の流れと必要書類をわかりやすく解説 で詳しく解説しています。

要点を整理する

項目内容
何が起きたかDTIが、首都圏でのエコゾーン認可を止めてきたAO 18の撤廃を後押しし、大統領の承認に向けて提案されました
誰が動いたかクリスティーナ・ロケ貿易長官と、フレデリック・ゴー財務長官がAO 18撤廃を承認しました
AO 18とは2019年にドゥテルテ前大統領が出した命令で、投資を地方へ向ける目的で首都圏の新規エコゾーン申請を止めるものでした
撤廃に必要な手続きマルコス大統領がAO 18に代わる新しい命令を出す必要があります
過去の経緯PEZAは2021年ごろから撤廃を求め、2022年に正式に申し立てましたが、地方開発の方針と整合するとして却下されました
市場の実態2026年第1四半期のIT-BPMオフィス取引の約7割が首都圏に集中し、地方分の半分以上はセブとイロイロでした
期待される動きアルカ・サウス(タギッグ)やブリッジタウン(オルティガス)などの開発申請が動き出すとみられ、マカティのユチェンコ系イノベーション拠点が試験的な案件として処理中です

Philippine Daily Inquirer — 「Roque, Go back lifting of Metro Manila ecozone moratorium」(2026年6月29日)

この表は情報提供を目的に、公開情報の事実をもとに作成したものです。詳細は上記リンクの元記事をご確認ください。


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Part 2: あなたの暮らしへの影響と、現地での動き方

在比日本人としての動き方

今回の規制撤廃は、まだ大統領の承認待ちの段階です。だからこそ、慌てて何かを契約するのではなく、自分のビジネスがどの制度に乗るのかを落ち着いて確かめることが大切です。以下に、首都圏でオフィスや会社を考えている方向けの進め方を整理します。

進め方具体的な内容と注意点
自分の業種が優遇対象か確認するコールセンターやIT開発、業務委託などのIT-BPMは優遇の対象になりやすい分野です。まずは自分の事業がPEZAの優遇に当てはまるかを、税理士や現地の専門家に確認しましょう
PEZA認可オフィスかどうかを必ず聞く優遇を受けるには、原則としてPEZAが認可した建物に入る必要があります。物件を見るときは「この建物はPEZA認可ですか」と必ず確かめてください
会社の形と必要な許認可をそろえる個人事業ならDTI(貿易産業省)で屋号登録、法人ならSEC(証券取引委員会)で登記します。そのあと市役所のMayor's Permit(市の営業許可)とBIR(内国歳入庁)の登録が必要です
大統領の承認の動きを追うAO 18の撤廃には大統領の新しい命令が必要です。承認の前後で申請の窓口や条件が変わることがあるので、DTIやPEZAの公式発表を都度確認しましょう
焦って長期契約を結ばない制度が動く時期は、家賃や条件の交渉余地が出ることもあります。承認の有無がはっきりするまでは、短めの契約や仮押さえで様子を見るのも一つの方法です

許認可の手続きそのものは、準備さえ整っていれば想像より速く進むことが多いです。私が美容院の開業をお手伝いしたときも、DTI・Mayor's Permit・BIRといった許認可は思ったよりすんなり通りました。準備に1〜2か月、物件探しに2週間ほどというのが、当時の実感です。

よくある失敗と対策

失敗1:ニュースを見て「もう首都圏で優遇が受けられる」と早合点してしまう

今回の話は、あくまで大統領の承認待ちの段階です。命令が正式に出るまでは、首都圏の新規エコゾーンが解禁されたわけではありません。

NG例:報道だけを見て、「首都圏のオフィスでもPEZA優遇が確定した」と思い込み、すぐに高額な賃貸契約を結んでしまう。

OK例:DTIやPEZAの正式な発表を確認し、承認が出る前は短めの契約や仮押さえにとどめて、制度の動きを見ながら判断する。

失敗2:物件がPEZA認可かどうかを確認せずに契約する

優遇を受けたいのに、認可されていない建物に入ってしまうと、そもそも対象外になります。見た目のきれいなビルでも、認可の有無は別問題です。

NG例:内装や立地だけで気に入って契約し、あとから「この建物はPEZA認可ではなかった」と気づく。

OK例:契約前に「この建物はPEZA認可ですか」と書面で確認し、認可番号や対象範囲を不動産会社にはっきり示してもらう。

失敗3:会社の形や許認可の順番を整理しないまま走り出す

法人にするか個人事業にするか、配偶者ビザを使うのかで、登録の流れも必要書類も変わります。順番を間違えると、何度も役所に通うことになります。

NG例:とりあえず物件を借りてから、会社の形やビザを後回しにして、許認可の段階で行き詰まる。

OK例:先に会社の形とビザの方針を決めてから動く。私が支援した美容院の例では、奥さま名義の法人と13(a)ビザ(配偶者ビザ)を組み合わせ、初期費用は物件の保証金から内装・機材まで全部で約30万ペソ(およそ80万円前後、為替で変わる概算です)に収め、許認可もすんなり通りました。


Part 3: もっと深く知る

関連する用語・制度

PEZA(フィリピン経済区庁、ペサ)は、経済特区を管理し、登録企業に税の優遇などを与える政府機関です。優遇を受けたい企業は、原則としてPEZAが認可した建物の中で事業を行う必要があります。今回のニュースでは、このPEZAが長年、首都圏での新規認可の解禁を求めてきたことが背景にあります。

AO 18(行政命令第18号)は、2019年にドゥテルテ前大統領が出した命令です。投資を地方に向けさせる目的で、首都圏マニラでの新しいエコゾーン申請の受け付けや審査をPEZAに止めさせました。今回のニュースは、この命令を撤廃しようという動きそのものです。撤廃にはマルコス大統領が新しい命令を出す必要があります。

IT-BPM(情報技術と業務委託)は、コールセンターやIT開発、各種の業務委託をまとめて指す言葉です。フィリピンの主要な産業で、優遇オフィスへの需要も厚い分野です。2026年第1四半期のオフィス取引の約7割が首都圏に集中していたとされ、地方分の半分以上はセブとイロイロに集まっていました。

DTI(貿易産業省)は、事業や貿易を所管する政府機関です。個人事業の屋号登録の窓口でもあります。今回はこのDTIがAO 18の撤廃を後押しした主役です。私が美容院の開業を支援したときも、最初の事業登録でこのDTIの窓口を通りました。

AO 11(行政命令第11号)は、2023年にマルコス大統領が出した命令です。AO 18の前に事前資格の許可を得ていた申請者が、一定の条件のもとで申請をやり直せるようにしたものでした。ただし、首都圏の新規エコゾーン申請を止める規制そのものは残されていました。


Part 4: よくある質問(FAQ)

Q. このニュースで、今すぐ首都圏のオフィスにPEZA優遇が使えるようになるのですか。

いいえ、まだその段階ではありません。DTIが撤廃を後押しし、大統領の承認に向けて提案された状態です。AO 18を撤廃するには、マルコス大統領が新しい命令を出す必要があります。正式に解禁されたかどうかは、DTIやPEZAの公式発表で確認してください。

Q. IT-BPMの会社ではないのですが、関係ありますか。

直接の優遇対象になりやすいのはIT-BPMの分野ですが、首都圏のオフィス需給が動けば、賃料や空き状況に影響が出る可能性はあります。優遇の対象かどうかは業種で変わるので、まずは自分の事業が当てはまるかを、現地の税理士や専門家に確認するのが確実です。

Q. 小さな個人事業でも、こうした制度を使えますか。

PEZAの優遇は登録企業向けで、要件があります。一方で、規模の小さい商売であれば、DTIでの屋号登録、市役所のMayor's Permit、BIRの登録という基本の流れで合法に始められます。私が支援した美容院も、奥さま名義の法人と13(a)ビザを組み合わせ、初期費用は全部で約30万ペソに収めました。優遇制度ありきで考えるより、まず自分の事業に合う形を選ぶことをおすすめします。

Q. オフィスを探すとき、何を確認すればよいですか。

優遇を受けたいなら「この建物はPEZA認可ですか」を最初に確認してください。認可されていない建物だと、そもそも優遇の対象になりません。立地や内装の前に、認可の有無と対象範囲を不動産会社にはっきり示してもらいましょう。

Q. 制度が変わりそうな今、契約を急ぐべきですか。

急ぐ必要はありません。むしろ制度が動く時期は、条件の交渉余地が出ることもあります。承認がはっきりするまでは、短めの契約や仮押さえで様子を見るのも一つの方法です。フィリピンの手続きは予定どおりに進まないこともあるので、時間に余裕を持って動くと安心です。


活用のコツ(3 Tips)

まず自分の業種が優遇対象かを確かめましょう。 ニュースを追う前に、自分の事業がIT-BPMなどの優遇対象に当てはまるかを整理してください。そこがはっきりすると、今回の話が自分に関係あるかどうかも見えてきます。

物件を見るときは「PEZA認可か」を最初の質問にしましょう。 優遇を受けたいなら、認可の有無がすべての出発点です。立地や見た目に惹かれる前に、認可番号と対象範囲を書面で確認しておくと、あとで後悔しません。

大統領の承認の動きを、公式発表で追いましょう。 AO 18の撤廃には新しい命令が必要です。SNSの早い情報だけで判断せず、DTIやPEZAの正式な発表で、解禁されたかどうかを確かめてから動きましょう。


ボーナス: マニラ日本人サポートの活用法

今回のような制度の動きは、自分の事業にどう関わるのかが分かりにくいものです。マニラ日本人サポートでは、フィリピン永住権を持ち、自らマニラに移住した日本人が、日本語だけで相談から手続きまでお手伝いします。初回相談は無料です。まずはお気軽にご相談ください。

次のステップとして、たとえば以下のような内容をご相談いただけます。

  • 自分の事業がPEZAの優遇に当てはまるか、会社の形(法人か個人事業か)をどうするかの整理
  • DTIでの事業登録、市役所のMayor's Permit、BIRの登録といった許認可手続きの段取りと同行
  • 首都圏でのオフィスや物件探しの同行、契約書のチェック、家賃交渉の通訳

参考・出典

この記事を書いた人

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運営者 / フィリピン永住権を持つマニラ在住の日本人

  • 東京都出身・生粋の江戸っ子(3代目)
  • フィリピン永住権を取得し自らマニラへ移住(在住13年以上)
  • 移住・ビザ・会社設立・現地生活を実体験
  • 相談から定着まで日本語で一貫サポート

フィリピン永住権を持ち、自分自身がマニラに移り住んだ日本人です。ビザ・住まい・銀行・役所など、はじめての土地でつまずきやすいところを、自分の経験と現地の人脈で一つずつ解きほぐします。記事は「現地で実際にどうなのか」を等身大でお伝えします。ご相談は初回無料・日本語だけで完結します。

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