フィリピン会社設立の第一歩|SEC(証券取引委員会)登録の流れと必要書類をわかりやすく解説

フィリピン・マニラで会社を作りたい在比日本人・移住検討者向けに、進出の第一歩となるSEC(証券取引委員会)登録の流れ、必要書類、資本金、費用、よくある失敗と対処法をわかりやすく解説。ビザや起業、現地での生活準備にも役立ちます。

執筆者
執筆者執筆者

フィリピン永住権・マニラ在住13年以上 / 移住・ビザ・ビジネスを日本語でサポート

フィリピン会社設立の第一歩|SEC(証券取引委員会)登録の流れと必要書類をわかりやすく解説

フィリピンで会社を立ち上げて事業を始めたいと考えたとき、最初の大きな壁になるのが「会社の登録手続き」です。日本とは仕組みも言葉も違うため、どこから手をつければいいのか分からず、不安に感じる方はとても多いです。

この記事では、フィリピン進出の第一歩となるSEC(証券取引委員会)登録について、流れや必要なものを順番に説明します。読み終わるころには、自分が次に何をすればいいのかがはっきり見えてくるはずです。

要約

  • SEC(証券取引委員会)への登録は、フィリピンで会社を作るときの最初の手続きで、ここを通っても市役所の事業許可やBIRへの登録などがそのあとに続きます。
  • 会社の種類と名前を決め、基本定款や付随定款などの書類を準備し、資本金を用意してSECに申請する、という順番で進みます。
  • 役所の処理は予定より遅れやすく、業者の過剰請求やオンライン申請の不安定さもあるので、費用の内訳の確認と書類の控えの保存が役に立ちます。

「会社を作る」と決めたあとに、最初につまずくこと

つまずきやすいポイント具体的な内容
SECの役割が分からない何をする役所か、日本の法務局と同じかが見えにくい
手続きの全体像が見えない英語で進み、書類が多く、複数の役所をまたぐ
会社の形を最初に決める出資できる割合や最低資本金が会社の形で変わる

事業のアイデアや資金の準備はできていても、いざ会社を登録しようとすると手が止まってしまう方が少なくありません。「そもそもSECって何をする役所なのか」「日本の法務局と同じなのか」といった、土台の部分でつまずきやすいのです。

フィリピンで会社設立の手続きに悩む日本人の様子 慣れない言葉と仕組みに、どこから手をつければいいか戸惑いやすい

さらに、フィリピンの手続きは英語で進み、提出する書類の種類も多いです。1か所に申請すれば終わりではなく、複数の役所をまたいで進める必要があるため、全体像が見えないまま動き出すと途中で迷子になってしまいます。

会社の形(種類)を最初に決めなければならない点も、悩みどころです。外国人がどれくらい出資できるか、最低資本金はいくら必要かは会社の形によって変わるため、ここを間違えると後からやり直しになることもあります。

関連: フィリピン会社設立は外資100%とフィリピン資本どちらが最適?マニラ移住者が解説 で詳しく解説しています。

なぜフィリピンの会社登録は複雑に感じるのか

複雑に感じる理由ポイント
SECの役割会社設立の登録に加え、証券や投資の監督も担う
入り口にすぎないSEC登録後も市役所や税務署の手続きが続く
外国人への制限業種ごとに出資比率の上限や高めの資本金がある

フィリピンでは、会社の「設立そのもの」を担当するのがSECという国の機関です。日本の感覚だと法務局のイメージに近いですが、SECは会社の登録だけでなく、証券や投資に関する監督も行う役所です。

そして大事なのは、SEC登録は会社設立の入り口にすぎないという点です。SECで会社が認められたあとも、市役所や税務署など、別の役所での手続きが続いていきます。

外国人が関わる会社の場合、フィリピン政府は「国内の産業や雇用を守る」という考え方を持っています。そのため、業種によっては外国人の出資比率に上限があったり、必要な資本金が高めに設定されていたりします。この国ならではの事情が、手続きを少し複雑に見せているのです。

SEC登録の具体的な進め方

ステップやること
1会社の種類と名前を決める
2必要書類(基本定款・付随定款など)を準備する
3資本金を用意し、銀行手続きを行う
4SECに申請し、設立登録証を受け取る
5市役所の事業許可やBIR登録など、次の手続きへ進む

ここからは、実際の流れを順番に見ていきます。会社の形によって細かい点は変わりますが、全体の流れをつかんでおくと安心です。

SEC登録に必要な書類とパスポートを準備する様子 会社の種類決めから書類準備、申請までを順番に進める

1. 会社の種類と名前を決める まずは株式会社(Stock Corporation)など、どの形で会社を作るかを決めます。あわせて会社名を考え、SECのシステムで同じ名前がすでに使われていないかを確認します。

2. 必要書類を準備する 代表的なものは、定款にあたるArticles of Incorporation(基本定款)By-laws(付随定款)です。ほかに、出資者や役員の情報、フィリピン国内の事業所の住所を示す書類などが必要になります。

3. 資本金を用意し、銀行手続きを行う 会社の形や業種によって最低資本金が変わります。たとえば外国資本が多く入る会社では、20万米ドル(フィリピンペソに換算すると、おおよそ1,100万ペソ前後)といった金額が求められる場合があります。実際の金額は業種や条件で変わるため、事前の確認が欠かせません。

4. SECに申請して登録証を受け取る 書類がそろったらSECに申請します。内容に問題がなければ、会社が正式に認められた証明であるCertificate of Incorporation(設立登録証)が発行されます。

5. SEC登録後の手続きへ進む SEC登録はゴールではありません。このあと、市役所での事業許可(Business Permit)の取得や、税務署にあたるBIR(内国歳入庁)への登録などが続きます。

こうした流れの中では、会社や代表者の銀行口座の準備も関わってきます。実際に2024年、マニラ在住の60代男性の口座開設をお手伝いしたときは、大手のBDOで普通預金(Peso Savings)の口座を開きました。必要だったのは賃貸契約書・パスポート・公共料金の証明書などで、あらかじめオンラインで予約しておいたおかげで、当日の待ち時間はほとんどありませんでした。

通帳はその日のうちに受け取れましたが、VISAデビット付きのカードは発行に1週間ほどかかり、受け取ったあとにATMで有効化する操作も必要でした。月末に残高が1,000ペソを下回ると維持費として数百ペソが引かれるので、口座の残高には少し気を配ると安心です。

関連: フィリピン会社設立後のBIR登録を放置する危険性|罰金・営業停止を防ぐ手順 で詳しく解説しています。

現地で実際に起きること、そして失敗しやすい点

よくある失敗・現地のリアル対処のしかた
役所の処理が予定より遅れるスケジュールに余裕を持たせる
業者による過剰請求費用の内訳を最初に確認する
申請システムや回線が不安定書類の控えや受付番号を保存する
書類の不備で差し戻し提出前にていねいに見直す

フィリピンでの手続きは、書類どおりにスムーズに進むとは限りません。役所の処理が予定より遅れることは、めずらしくないと考えておくほうが気持ちは楽です。

フィリピンの役所の窓口で順番を待つ人々 役所の処理は予定より遅れやすく、スケジュールに余裕を持たせると安心

「来週には出る」と言われた書類が、実際には数週間待つことになるケースもあります。スケジュールには余裕を持たせ、ひとつの手続きの完了を前提に次々と予定を詰め込みすぎないことが大切です。

費用の面でも注意が必要です。手続きを代行する業者の中には、実際の役所の費用に大きく上乗せして請求してくるところもあります。何にいくらかかるのか、内訳を最初に確認しておくと、過剰な請求を防ぎやすくなります。

また、SECの申請はオンラインで進む部分が多いですが、システムや回線が不安定で、申請が途中で止まることもあります。提出した書類の控えや受付番号は必ず保存しておき、進み具合をこまめに確認する習慣をつけておくと安心です。

書類のひとつの不備で差し戻しになると、また最初から並び直しになることもあります。提出前に内容をていねいに見直すことが、結果的にいちばんの近道になります。

こうした差し戻しは、オンライン申請でも起こります。2025年に、在宅でUpworkの仕事を受けるようになった50代女性のTIN(納税者番号)取得をお手伝いしたときは、BIRのオンラインシステム(ORUS)から申請しました。申し込み時の入力に不備があってそのままでは先に進めず、窓口まで同行しましたが、窓口では2〜3時間ほどで問題なく発行されました。

とはいえ、すべてが遅れたり、もめたりするわけではありません。日本で20年ほど美容師をしていた方のマニラでの美容院開業をお手伝いしたときは、許認可が思ったよりすんなり通りました。フィリピン人女性と結婚していた方で、妻名義の法人と13(a)ビザを使って完全に合法な形に整え、DTI・Mayor's Permit・BIRといった許認可も問題なく取れました。

初期費用は物件の保証金から内装・機材まで全部で約30万ペソ、物件探しに2週間ほど、準備に1〜2か月ほどでした。開業から5年経った今も、座席2席・スタッフ2〜3人で来客が絶えないお店になっています。

関連: フィリピンQDMTT(最低15%課税)とは — 在比日本人・進出企業への影響と対応 で詳しく解説しています。

よく来る質問

Q: SEC登録だけで、すぐに事業を始められますか?

A: いいえ、SEC登録は入り口にすぎません。市役所の事業許可やBIR(税務署)への登録などを終えて、はじめて正式に営業ができる状態になります。

Q: 手続きはどのくらいの期間がかかりますか?

A: 書類がそろっていれば数週間で進むこともありますが、役所の混み具合や書類の不備で延びることも多いです。1〜2か月ほどの余裕を見ておくと安心です。

Q: 外国人でも100%出資の会社を作れますか?

A: 業種によります。外国資本が認められている業種もあれば、フィリピン人の出資が一定割合必要な業種もあります。自分の事業がどちらにあたるかを、事前に確認することが大切です。

Q: 自分一人で手続きを進めることはできますか?

A: 制度上は可能ですが、書類はすべて英語で、提出先も複数にまたがります。慣れていないと差し戻しが増えやすいため、現地の事情を知る人のサポートを受ける方が結果的に早く済むことが多いです。

まとめ

フィリピン進出の第一歩は、SEC(証券取引委員会)への会社登録から始まります。SECは会社設立の入り口であり、ここを通過したあとも市役所やBIRなどの手続きが続いていく、という全体像をつかんでおくことが何より大切です。

会社の形と名前を決め、定款などの書類を準備し、資本金を用意してSECに申請する。この流れを押さえたうえで、役所の遅れ・過剰請求・回線の不安定さといった現地ならではの注意点に備えておけば、つまずきはぐっと減らせます。

とはいえ、自分の事業がどの会社形態や資本金にあてはまるのかは、業種や状況によって変わります。判断に迷ったときは、マニラ在住・フィリピン永住権を持つ日本人による無料相談をぜひ活用してください。最初の一歩を一緒に整理することで、安心して進出の準備を進められます。

参考・出典

この記事を書いた人

執筆者
執筆者

運営者 / フィリピン永住権を持つマニラ在住の日本人

  • 東京都出身・生粋の江戸っ子(3代目)
  • フィリピン永住権を取得し自らマニラへ移住(在住13年以上)
  • 移住・ビザ・会社設立・現地生活を実体験
  • 相談から定着まで日本語で一貫サポート

フィリピン永住権を持ち、自分自身がマニラに移り住んだ日本人です。ビザ・住まい・銀行・役所など、はじめての土地でつまずきやすいところを、自分の経験と現地の人脈で一つずつ解きほぐします。記事は「現地で実際にどうなのか」を等身大でお伝えします。ご相談は初回無料・日本語だけで完結します。

マニラ暮らしをまるごとサポート!

初回相談は無料です。お気軽にご相談ください。

関連記事

フィリピンの電気代はアジア最高峰?オフィス維持費で盲点になりやすい5つの費用
ビジネス・起業

フィリピンの電気代はアジア最高峰?オフィス維持費で盲点になりやすい5つの費用

フィリピンでオフィスを構えると、家賃や人件費の陰で維持費に誤算が生じがちです。アジアでも高水準とされる電気代、二重化が必要なネット回線、停電対策、共益費、水道など盲点になりやすい5つの費用と、契約前に数字で確認する備え方を在比日本人目線で解説します。

2026/7/25

オフィス家具やPCの調達:マカティ周辺のおすすめショップ|フィリピンで会社の立ち上げ備品を賢く揃える
ビジネス・起業

オフィス家具やPCの調達:マカティ周辺のおすすめショップ|フィリピンで会社の立ち上げ備品を賢く揃える

マニラ・マカティ周辺でオフィス家具とPCを調達する方法を、新品チェーン・ジャパンサープラス(中古)・ECの3ルートで解説します。Official Receiptの取得、英語配列PCの注意、IKEAや中古家具の活用術まで、フィリピンでの会社立ち上げに役立つ実務ガイドです。

2026/7/24

フィリピンでの法人銀行口座開設が「難しい」と言われる理由と対策|マニラで会社設立後に困らない準備
ビジネス・起業

フィリピンでの法人銀行口座開設が「難しい」と言われる理由と対策|マニラで会社設立後に困らない準備

フィリピン・マニラでの法人銀行口座開設が難しい理由(審査厳格化・支店裁量・紹介文化)と、必要書類の全体像、スムーズに開設する5つの対策を現地在住13年の日本人が解説します。会社設立後の口座開設で出直しを防ぐ実務ガイドです。

2026/7/23

コワーキングスペース vs 自社オフィス、初期のフィリピン進出にはどちらが良い?費用と柔軟性で考える選び方
ビジネス・起業

コワーキングスペース vs 自社オフィス、初期のフィリピン進出にはどちらが良い?費用と柔軟性で考える選び方

フィリピン・マニラ進出の初期にコワーキングスペースと自社オフィスのどちらを選ぶべきかを、費用・柔軟性・信用の3軸で比較します。段階別の目安、会社設立の登記住所の注意点、自社オフィスへ移行するタイミングまで、現地在住13年の日本人が解説します。

2026/7/22

マカティでオフィスを借りる!賃貸契約の相場と初期費用の内訳
ビジネス・起業

マカティでオフィスを借りる!賃貸契約の相場と初期費用の内訳

マニラ・マカティでオフィスを借りるときの賃料相場(平米単価)と初期費用の内訳を現地在住13年の日本人が解説します。保証金・前家賃・共益費・内装費の目安、契約書で確認すべき値上げ条項や原状回復の注意点まで、フィリピンでの会社設立後のオフィス探しに役立つ実務ガイドです。

2026/7/21

フィリピンの最低賃金制度とは|マニラ首都圏と地方都市の格差を最新レートで比較
ビジネス・起業

フィリピンの最低賃金制度とは|マニラ首都圏と地方都市の格差を最新レートで比較

フィリピンの最低賃金は地域ごとに日給ベースで決まります。2026年最新のマニラ首都圏(NCR)と地方都市のレート比較、約1.7倍の格差の理由、雇用主が見るべき人件費の総額まで、在比日本人向けにわかりやすく解説します。

2026/7/20