フィリピンのロシア接近と「多極化」外交——在比日本人の食卓・物価・暮らしへの影響を解説

フィリピンがロシアと経済関係を深める「多極化」外交の動きを、在フィリピン日本人とフィリピンビジネスの視点で解説します。食料の輸出入やエネルギー、物価への影響、現地での具体的な備え方や公式情報の確認先まで実務目線で整理しました。

執筆者
執筆者執筆者

フィリピン永住権・マニラ在住13年以上 / 移住・ビザ・ビジネスを日本語でサポート

フィリピンのロシア接近と「多極化」外交——在比日本人の食卓・物価・暮らしへの影響を解説

マルコス大統領がロシアと経済関係の強化へ——フィリピンの「多極化」外交が、在比日本人の食卓と暮らしに意味すること

マルコス大統領のロシア初訪問で動くフィリピンの多極化外交を、在フィリピン日本人や進出を考える日本企業の視点で整理します。食料やエネルギー、物価への影響と、現地での具体的な備え方が分かります。

フィリピンのマルコス大統領が初めてロシアを訪れ、両国が貿易や人の往来を増やす方向で歩み寄りました。大統領は「世界は二つの陣営に分かれているという考え方を、もう捨てた」と述べ、特定の大国だけに頼らない外交へかじを切ろうとしています。一見すると遠い国際政治の話ですが、ここで話題に上った食料の輸出入やエネルギーの安定は、マニラで暮らす私たちの食卓や毎月の支払いに、じわりと関わってきます。本記事は2026年6月20日時点の公開情報をもとにしています。状況は今後変わりうるため、最新の公式発表もあわせてご確認ください。


Part 1: このニュースが、あなたの暮らしにどう関係するか

このニュースの背景と、在比日本人にとっての意味

今回のニュースは、フィリピンの外交方針が大きく動いていることを示しています。マルコス大統領はロシアを初訪問し、農業やエネルギー、食料の輸出入といった分野で協力を深める意向を示しました。背景には、アメリカが関税を引き上げたという事情もあり、フィリピンは特定の国だけに頼らない「多極化」の立場をとろうとしています。

在比日本人にとって、この話は二つの意味を持っています。一つは食料とエネルギーの値段への影響です。フィリピンは食料品の多くを輸入に頼っており、貿易相手が増えることは、スーパーの品ぞろえや価格の安定につながる可能性があります。もう一つは、日本との関係が変わらず良好だという点です。大統領はロシアだけでなく、日本やオーストラリア、カナダ、ドイツとも関係を深めていると語りました。つまりフィリピンは、日本を引き続き大切な相手と位置づけているわけです。これは、ビザや会社設立、日々の生活で日本人が動きやすい環境が続くという安心材料になります。

食料の話でいうと、私はよく「フィリピンの牛肉は硬くて臭いと聞いたが本当か」と尋ねられます。実際には、日本人が口にする牛肉や豚肉、羊肉は、日本で流通しているものと同じくらいの品質で、スーパーで日本と変わらないレベルの肉が買えます。焼肉レストランもあり、レアでも食べられます。フィリピンが食料の輸入先を広げようとしている今、こうした品ぞろえや価格がどう動くかは、暮らしに直結する身近なテーマなのです。

要点を整理する

項目内容
何が起きたかマルコス大統領が初めてロシアを訪問し、両国が貿易や人の往来を深めることで合意した
場所と時期ロシア・カザンで開かれたロシア・ASEAN首脳会議(2026年6月18日)
大統領の発言世界が二つの陣営に分かれるという考えはもう捨てた、という「多極化」の立場
重点分野農業や食料の輸出入、エネルギーの安定など
日本との関係大統領は日本やオーストラリア、カナダ、ドイツとも関係を深めていると言及
未確定の点ロシアとの石油取引は地政学上の事情から、まだ合意に至っていない

ABS-CBN News — 「'Adjusting to new reality', Marcos Jr. says as PH seeks deeper ties with Russia」(2026年6月20日)

この表は情報提供を目的に、公開情報の事実をもとに作成したものです。詳細は上記リンクの元記事をご確認ください。


関連: マニラ不動産の日系大手開発で移住はどう変わる?コンドミニアム購入・賃貸相場と注意点 で詳しく解説しています。

Part 2: あなたの暮らしへの影響と、現地での動き方

在比日本人としての動き方

国際政治のニュースは、自分の暮らしと結びつけにくいものです。ですが今回の話は、食料やエネルギー、つまり毎日の支払いに関わる内容を含んでいます。慌てる必要はありませんが、次のように落ち着いて備えておくと安心です。

やることフィリピンでの具体的な注意点
食料品の値段を時々見ておく米やパン、食用油など輸入に頼る品は値動きしやすいです。いつものスーパーで価格を気にかけておきましょう
食料の備えを切らさないインスタント麺や缶詰、米などを1週間分ほど用意し、台風シーズンの前に補充しておくと安心です
電気代と停電に備えるエネルギー政策は時間をかけて家計に響きます。大容量のモバイルバッテリーを2台ほど用意しておくと心強いです
公式の発表を一次情報で追う制度や貿易の話は変わりやすいです。在フィリピン日本国大使館や外務省「海外安全ホームページ」を確認しましょう
為替の動きを意識する円とペソの相場は生活費に直結します。送金や両替のタイミングを少し気にかけておきましょう

食料の備えについては、正直に言うと私自身はそれほど多くを用意していません。近所にコンビニが数軒あり、5階建てのショッピングモールもすぐ近くなので、何かあればそこへ駆け込んでいます。とはいえ、住まいの近くに買い物できる場所があるかどうかで、いざというときの安心感はまるで違います。これから住まいを選ぶ方は、近くにスーパーやモールがあるかも見ておくとよいでしょう。

停電への備えも同じ考え方です。停電するとATMもカード決済も止まるので、小額の紙幣を手元に置いておくと地味に効きます。コンドミニアム(分譲マンション)は停電すると給水ポンプも止まり、そのまま断水になることが多いです。停電と断水はセットで備えておくと安心できます。

関連: フィリピンの会社設立で要注意!ダミー禁止法(Anti-Dummy Law)の名義貸しリスクと対策 で詳しく解説しています。

よくある失敗と対策

国際ニュースを前にすると、つい極端な行動をとってしまいがちです。フィリピンで暮らす日本人がやりやすい失敗を、三つに分けて見ていきましょう。

一つ目は、ニュースに反応して買いだめに走ってしまうことです。大きな出来事があると、現地の人がスーパーに殺到することがあります。実際、新型コロナが広がったときも、現地の人は買いだめでパニックのようになっていました。つられて自分まで慌てると、無駄な出費や食品ロスにつながります。

NG例:ニュースを見て不安になり、その日のうちに米や缶詰を大量に買い込んでしまいました。

OK例:ふだんから1週間分の食料を切らさないようにし、台風シーズンの前に少しずつ補充しておきました。

二つ目は、SNSの未確認情報をうのみにしてしまうことです。貿易や制度の話は専門的で、SNSでは尾ひれの付いた情報が広がりやすいです。台風の警報レベルでも同じで、SNSははやい反面、誤った情報も少なくありません。

NG例:知人がSNSで流した「来月から食料品が一斉に値上がりする」という話を信じ、振り回されてしまいました。

OK例:気になる話は、大使館や政府機関の公式発表で裏を取ってから判断するようにしました。

三つ目は、円とペソの両替や送金のタイミングを考えずにいることです。外交や経済のニュースは、為替の動きにつながることがあります。何も意識せずにいると、損な相場で両替してしまうこともあります。

NG例:必要になるたびに、その日の相場で何も考えずに両替していました。

OK例:相場の動きをときどき見て、まとまった送金は余裕のあるときに分けて行うようにしました。


Part 3: もっと深く知る

関連する用語・制度

多極化(マルチポラリティ)とは、世界がアメリカやソ連のような二つの大国を中心に動くのではなく、複数の国がそれぞれ力を持つ状態を指します。マルコス大統領は今回、フィリピンが「どちらか一方の陣営を選ぶ」考えをやめたと語りました。在比日本人にとっては、フィリピンが日本を含む多くの国と付き合う方針なので、日本人が暮らしやビジネスを続けやすい環境が保たれる、と受け止められます。

ASEAN(東南アジア諸国連合)は、フィリピンやタイ、ベトナムなど東南アジアの国々が集まる地域の枠組みです。今回のニュースは、このASEANとロシアの首脳会議の場で出てきました。フィリピンはこの枠組みの中で、貿易や安全保障の話し合いを進めています。日本もASEANと深い関係があるため、ここでの動きは日本企業の進出や物流にも間接的に関わってきます。

二国間貿易(バイラテラル・トレード)とは、二つの国の間で行う輸出入のことです。今回フィリピンは、ロシアとの間で農業や食料、エネルギーの分野を増やそうとしています。私たちの生活に近い言葉でいえば、スーパーに並ぶ食料品や、ガソリン、電気の元となる燃料の仕入れ先が広がるかどうか、という話です。値段や品ぞろえの安定につながる可能性があります。

在留届とORRnet(オンラインの在留届システム)について触れておきます。在留届は、3か月以上フィリピンに滞在する人が在フィリピン日本国大使館に出す届け出で、オンラインのORRnetから提出できます。私は、自分でもお客様にも必ず出すようにしています。災害や治安の領事メールがこの登録を通じて届くため、制度の変更や緊急時の一次情報を受け取る大切な入り口になります。

たびレジ(外務省の旅行登録システム)は、短期で来る人向けの登録です。数日から数週間の滞在でも、登録しておけば現地の安全情報がメールで届きます。長く住む人は在留届、短く来る人はたびレジ、と覚えておくとよいでしょう。


Part 4: よくある質問(FAQ)

今回のニュースで、すぐにスーパーの値段が上がったり、生活が変わったりしますか。

すぐに大きく変わることは考えにくいです。今回の話は、これから貿易を増やしていこうという方向性の合意であり、具体的な取引はこれからです。石油の取引も、まだ合意に至っていません。慌てて買いだめする必要はありません。ふだんどおり1週間分ほどの食料を切らさないようにしておけば十分です。

フィリピンがロシアと近づくと、日本との関係は悪くなりませんか。

その心配は小さいと考えられます。マルコス大統領は、日本やオーストラリア、カナダ、ドイツとも関係を深めていると語っています。フィリピンは「どちらか一方を選ぶ」のではなく、多くの国と付き合う方針です。日本人が暮らしやビザの手続きで動きやすい環境は、当面続くとみてよいでしょう。

フィリピンの食料品は、品質が心配です。日本のような肉や食材は買えますか。

日本と変わらないレベルの食材が買えます。日本人が食べる牛肉や豚肉、羊肉は、日本で流通しているものと同程度で、スーパーで手に入ります。焼肉レストランもあり、レアでも食べられます。一方で、現地の人が通う食堂や屋台は、それなりの食材のこともあります。買う場所を選べば、食生活で困ることはほとんどありません。

エネルギーの話が出ていましたが、停電への備えはどうすればよいですか。

大容量のモバイルバッテリーを2台ほどと、ソーラー充電式のランタンがあると心強いです。卓上のカセットコンロとガスボンベを予備しておくと、湯を沸かせます。ただしコンドミニアム(分譲マンション)によっては室内で火を使えないことがあるので、契約の前に確認してください。停電すると給水ポンプも止まり、断水になることが多いです。停電と断水はセットで備えておきましょう。

こうした制度や経済のニュースは、どこで正しい情報を確認すればよいですか。

まずは公式の一次情報をおすすめします。在フィリピン日本国大使館や、外務省「海外安全ホームページ」が信頼できます。速報のはやさは、RapplerやInquirer、ABS-CBNやGMAといった現地ニュースで補えます。SNSははやい反面、誤った情報も多いので、大事な話は必ず公式で確かめるようにしましょう。


活用のコツ(3 Tips)

食料品と電気代の値段を、月に一度メモしておきましょう いつものスーパーで米やパン、食用油の値段を時々見て、電気代も控えておくと、変化に早く気づけます。貿易やエネルギーの政策は、じわじわと家計に響いてくるからです。

気になる情報は、必ず公式で裏を取りましょう SNSや知人の話で不安になったら、在フィリピン日本国大使館や外務省の発表で確かめてください。確かな情報源を一つ決めておくだけで、振り回されにくくなります。

送金や両替のタイミングを、少しだけ意識しましょう 外交や経済のニュースは、円とペソの相場に関わることがあります。まとまった送金は余裕のあるときに分けて行うと、損な相場をつかみにくくなります。


ボーナス: マニラ日本人サポートの活用法

今回のような経済や制度の話は、暮らしへの影響が分かりにくいものです。マニラ日本人サポートでは、フィリピン永住権を持ち、自らマニラに移住した日本人が、日本語だけで相談に乗っています。難しい英語の手続きや、現地のお役所事情に不安がある方も、まずはお気軽にご相談ください。

次のステップとして、たとえば以下のような内容をご相談いただけます。

  • 移住に向けたビザの選び方や、SRRV(特別居住退職者ビザ)など永住権の取得支援
  • 住まい探しや賃貸契約の同行、家電やネット回線の手配といった生活の立ち上げ
  • 銀行口座の開設やTIN(納税者番号)の取得など、現地での暮らしと仕事の手続き

初回相談は無料です。何から動けばよいか分からないという段階でも、遠慮なくお声がけください。


参考・出典

この記事を書いた人

執筆者
執筆者

運営者 / フィリピン永住権を持つマニラ在住の日本人

  • 東京都出身・生粋の江戸っ子(3代目)
  • フィリピン永住権を取得し自らマニラへ移住(在住13年以上)
  • 移住・ビザ・会社設立・現地生活を実体験
  • 相談から定着まで日本語で一貫サポート

フィリピン永住権を持ち、自分自身がマニラに移り住んだ日本人です。ビザ・住まい・銀行・役所など、はじめての土地でつまずきやすいところを、自分の経験と現地の人脈で一つずつ解きほぐします。記事は「現地で実際にどうなのか」を等身大でお伝えします。ご相談は初回無料・日本語だけで完結します。

移住・ビザ・ビジネスの無料相談

あなたのご状況をお聞きし、最適な進め方をご提案します。

無料相談を予約する(0円・30分)