新SIPP2026-2028でAI・半導体・再エネが優先分野に|フィリピン進出日本企業への影響

フィリピンの新SIPP(2026〜2028年)でAI・データサイエンス、サイバーセキュリティ、半導体、再エネが優先分野に。投資承認₱4.5兆の目標やCREATE MORE法、ニュー・クラーク・シティの動きを、フィリピン進出を検討する日本企業向けに整理します。

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フィリピン永住権・マニラ在住13年以上 / 移住・ビザ・ビジネスを日本語でサポート

新SIPP2026-2028でAI・半導体・再エネが優先分野に|フィリピン進出日本企業への影響

新SIPP(2026〜2028年)で投資承認₱4.5兆円規模へ — 製造・AI・再エネ優遇が、在比日本人の起業と就職に効いてくる理由

フィリピン政府が投資承認₱4.5兆を目指す新SIPPで、AIやデータセンター、半導体、再生可能エネルギーが優先分野に。日本企業が押さえるべき投資優遇と現地展開の要点を実務目線で解説します。

フィリピン政府が、2026年から2028年までの新しい戦略投資優先計画(SIPP)のもとで、₱4.5兆(約4兆5,000億ペソ)規模の投資承認を目指していることが明らかになりました。この計画は、政府が税制などの優遇を与える「優先分野」を定めるもので、製造業や農業、サービス業に加えて、AI(人工知能)やサイバーセキュリティ、再生可能エネルギーといった分野も並びます。マニラで会社をつくろうとしている方、現地で就職や転職を考えている方、そして家族を呼び寄せて長く暮らそうとしている方にとって、どの産業にお金と雇用が向かうのかを示す地図になります。本記事は2026年7月14日時点の公開情報をもとにしています。制度や数値は今後変わりうるため、実際の手続きの前には必ず最新の公式発表をご確認ください。


Part 1: このニュースが、あなたの暮らしにどう関係するか

このニュースの背景と、在比日本人にとっての意味

SIPP(戦略投資優先計画)は、政府が「この分野に投資してくれるなら優遇を出します」と示す一覧表のようなものです。今回の2026〜2028年版はマルコス大統領が先月承認したもので、製造業や農業、サービス業、インフラ、物流、医療、エネルギーが優先分野に入りました。さらに、重要鉱物やグリーンメタル、再生可能エネルギーや新しいエネルギー技術、AI(人工知能)とデータサイエンス、サイバーセキュリティ、量子技術といった、将来をにらんだ産業も戦略分野として挙げられています。

在比日本人にとって、これは二つの意味を持ちます。ひとつは、起業や法人設立を考えている方にとっての「追い風の方向」が分かることです。もうひとつは、勤め先の選び方や、これから増える求人の分野を読む手がかりになることです。BCDA(基地転換開発庁)のケネス・ペラルタ副社長は、タルラック州のニュー・クラーク・シティで、再生可能エネルギーやAI、データセンター、半導体の製造といった投資を呼び込みやすくなると話しています。マニラ首都圏だけでなく、その周辺にも投資の目が向いていることが読み取れます。

ただし、ここで冷静に押さえておきたいのは、SIPPの優遇は「大きな投資案件」を対象にした制度だという点です。個人が小さなお店を開くときに、そのまま同じ優遇が受けられるわけではありません。私は以前、日本で20年ほど美容師をしていた方のマニラでの美容院開業をお手伝いしました。フィリピン人女性と結婚された方でしたので、妻名義の法人と13(a)ビザ(フィリピン人配偶者を持つ外国人向けの永住ビザ)を組み合わせて、完全に合法な形に整えました。物件の保証金から内装、機材まで含めた初期費用は全部で約30万ペソ(当時のレートでおよそ80万円前後の概算です)、物件探しに2週間ほど、準備に1〜2か月かかりました。DTI(貿易産業省)やMayor's Permit(市の営業許可)、BIR(内国歳入庁)の登録といった許認可は、思ったよりすんなり通りました。5年経った今も、座席2つ・スタッフ2〜3人で来客が絶えません。つまり、投資優遇の大きな話と、実際に暮らしの中で商売を始める手続きは、別々のレイヤーとして理解しておく必要があります。

要点を整理する

本記事は2026年7月14日時点の公開情報をもとにしています。数値や目標は今後の発表で更新されうるため、最新の公式発表をご確認ください。

項目内容
新しい計画の名称と期間SIPP(戦略投資優先計画)2026〜2028年版。マルコス大統領が先月承認しました
投資承認の目標額₱4.5兆。すべてのIPA(投資誘致機関)が承認する投資予定額の合計が対象です
前回のSIPPの実績2022年6月から2024年12月までで、およそ₱3.38兆が承認されました
昨年の実績IPA全体で₱1.92兆の投資が承認されました
BOIの今年の目標と進捗今年の目標は₱1兆。1〜6月の承認額は₱4,618.4億で、前年同期の₱3,822.4億から21%増えました
優先分野製造業、農業、サービス業、インフラ、物流、医療、エネルギー
戦略・将来志向の分野重要鉱物とグリーンメタル、再生可能・新エネルギー技術、持続可能性に関わる産業、AIとデータサイエンス、サイバーセキュリティ、量子技術など
制度面の変化CREATE MORE法による優遇制度の強化と、新SIPPが同時に動くのは今回が初めてです
地方への波及BCDAは、タルラック州のニュー・クラーク・シティで再エネ、AI、データセンター、半導体製造の誘致がしやすくなると見ています
次期SIPPの検討フィリピン開発計画(PDP)の6年間に合わせ、実施期間を長くする案が検討されています

The Philippine Star — 「Government targets P4.5 trillion investment approvals under new SIPP」(2026年7月14日)

この表は情報提供を目的に、公開情報の事実をもとに作成したものです。詳細は上記リンクの元記事をご確認ください。


関連: フィリピン会社設立の第一歩|SEC(証券取引委員会)登録の流れと必要書類をわかりやすく解説 で詳しく解説しています。

Part 2: あなたの暮らしへの影響と、現地での動き方

在比日本人としての動き方

投資優遇のニュースは、遠い話に見えて、実は「自分の商売や仕事をどの分野に寄せるか」という身近な判断につながります。ここでは、在比日本人が今からできる動き方を整理します。

まず、自分の事業や職種が優先分野に近いかどうかを確かめてください。製造やエネルギー、医療、物流、AIやサイバーセキュリティに関わる仕事であれば、今後の求人や取引先の増加が期待できます。次に、優遇そのものを狙うのか、それとも増える需要を取りにいくのかを決めます。優遇の対象は基本的に規模の大きな投資案件ですから、個人や小規模の事業は「増えた企業や駐在員を顧客にする」と考えるほうが現実的です。

そのうえで、法人と許認可の形を整えます。フィリピンで会社をつくる場合はSEC(証券取引委員会)への登録、個人事業であればDTI(貿易産業省)への屋号登録が入口になり、その後に市のMayor's Permit(営業許可)とBIR(内国歳入庁)の登録が続きます。外国人が働く場合はビザと就労許可の裏づけも必要です。ここを曖昧にしたまま走り出すと、あとで作り直しになります。

進め方やることフィリピン特有の注意点
① 分野を照らし合わせる自分の事業・職種が優先分野(製造、農業、サービス、インフラ、物流、医療、エネルギー、AI、サイバーセキュリティ等)に近いか確認します優遇の対象になるのは大型の投資案件が中心です。小規模事業は「需要の増加」を取りにいく発想が現実的です
② 狙い方を決める優遇を受ける投資家として動くのか、増える企業や駐在員を顧客にするのかを決めますニュー・クラーク・シティ(タルラック州)のように、マニラ以外にも投資が向かっています。通勤や移住先の選択に影響します
③ 事業体の形を整える法人はSEC、個人事業はDTIで登録し、市のMayor's Permit、BIRの登録へと進みます許認可は自治体ごとに運用が違います。必要書類の一覧は必ず窓口で最新のものをもらってください
④ 資金と納税の土台をつくる現地の銀行口座とTIN(納税者番号)を用意します銀行口座は賃貸契約書やパスポート、公共料金の証明書などが必要です。残高が少ないと口座維持費が引かれる銀行もあります
⑤ 就労・滞在の資格を合わせる就労するなら就労ビザと許可、配偶者がフィリピン人なら13(a)ビザなど、形に合った資格を選びますビザの運用は変わることがあります。申請のたびに、入管など担当窓口で最新の条件を確認してください

よくある失敗と対策

失敗1:優遇制度のニュースを「自分の小さな事業にも優遇が下りる」と読み違える

SIPPやCREATE MORE法の話題は華やかですが、その優遇は主に規模の大きな投資に向けられたものです。個人経営のお店や小さな法人が、記事に出てくる₱4.5兆という数字を自分の話として受け取ってしまうと、事業計画が現実から離れていきます。

NG例:「AIやサービス業が優先分野だから、うちの小さな事業も税優遇が受けられるはずだと考えて、優遇ありきの収支計画を立ててしまった。」

OK例:「優遇は狙わず、投資が増えることで人と企業が動くという事実だけを取り入れ、増える顧客をどう取るかで計画を立てた。」

失敗2:法人・許認可・ビザの整合を後回しにする

「まず店を開けてから考える」という進め方は、フィリピンでは後で必ず引っかかります。名義、許認可、滞在資格の三つが噛み合っていないと、更新のときに立ち止まることになります。私が支援した美容院の開業では、最初から妻名義の法人と13(a)ビザの組み合わせで、完全に合法な形に整えました。DTIやMayor's Permit、BIRといった許認可も順に取ったので、5年経った今も安心して営業できています。

NG例:「知り合いの名義を借りて先に開業し、書類は落ち着いてから整えようと考えた。」

OK例:「開業の前に、名義・許認可・ビザの三つが噛み合う形を決めてから物件を探した。」

失敗3:納税者番号や銀行口座の準備を軽く見て、入金や支払いで止まる

事業を始めても、TIN(納税者番号)や現地の銀行口座がないと、報酬の受け取りや支払いで詰まります。私は2025年に、マニラ在住の50代女性のTIN取得をお手伝いしました。ご自宅のパソコンでUpworkの仕事を受けるようになり、報酬の振込にTINが必要になったからです。BIRのオンラインシステム(ORUS)から申請したのですが、申し込み時の入力情報に不備があってそのままでは進めず、それを解消するために窓口まで同行しました。窓口では2〜3時間ほどで、特に問題なく発行されました。先に取っておけば、慌てずに済んだ手続きです。

NG例:「仕事や取引が決まってから、必要になった時点でTINや口座を用意しようと考えていた。」

OK例:「事業や仕事を始める前に、TINと銀行口座を先に整え、入金の経路を通しておいた。」


関連: フィリピンの会社設立で要注意!ダミー禁止法(Anti-Dummy Law)の名義貸しリスクと対策 で詳しく解説しています。

Part 3: もっと深く知る

関連する用語・制度

SIPP(戦略投資優先計画)

政府が優遇を与える投資分野を示した一覧表です。2026〜2028年版では、製造業や農業、サービス業、インフラ、物流、医療、エネルギーが並び、さらにAIやサイバーセキュリティ、量子技術といった将来を見据えた分野も挙げられました。どの産業に人とお金が流れるかを読むうえで、現地で暮らす日本人にも参考になります。

BOI(投資委員会)

フィリピンの投資誘致を主導する機関で、貿易産業省の下にあります。今年の承認額の目標は₱1兆で、1〜6月にはすでに₱4,618.4億を承認しました。前年同期の₱3,822.4億から21%の増加です。日本企業の進出案件も、この機関を通ることがあります。

IPA(投資誘致機関)とBCDA(基地転換開発庁)

IPAは投資を呼び込み、承認を出す機関の総称です。今回の₱4.5兆という目標は、これらすべての承認額を合わせたものです。BCDAはその一つで、タルラック州のニュー・クラーク・シティにおける再生可能エネルギーやAI、データセンター、半導体製造の誘致に期待を寄せています。マニラ以外の都市が育つと、住まいや仕事の選択肢も広がります。

CREATE MORE法

フィリピンの投資優遇制度を強化した法律です。今回の新しいSIPPと同時に動くのは初めてで、政府はより多くの投資を呼び込みたいと考えています。優遇の中身は事業の規模や分野によって変わるため、実際に活用を検討する場合は、担当機関で最新の条件を確認してください。

DTI・SEC・BIR(現地の登録先)

個人事業の屋号はDTI(貿易産業省)、法人はSEC(証券取引委員会)で登録します。その後、市のMayor's Permit(営業許可)を取り、BIR(内国歳入庁)に登録して納税者番号や領収書の発行を整えます。私が支援した美容院の開業でも、この順番で許認可を進めました。窓口の運用は自治体ごとに違うため、必要書類は現地で直接確認するのが確実です。


Part 4: よくある質問(FAQ)

このニュースは、マニラで小さな店や会社をやっている日本人にも関係がありますか。

直接の優遇という形ではあまり関係しませんが、間接的には関係します。投資が増えれば、進出企業や駐在員、そこで働く人が増え、街の需要も動きます。飲食や美容、サービス業であれば、そうした人の流れをどう取り込むかが実務の焦点になります。優遇そのものより、需要の変化に目を向けるほうが役に立ちます。

優先分野に入っていれば、外国人でも会社を作りやすくなりますか。

SIPPは優遇の対象分野を示すもので、外国人の出資規制や事業の作り方をそのまま変えるものではありません。実際に会社をつくるときは、業種ごとの規制と、自分の滞在資格に合った形を選ぶ必要があります。配偶者がフィリピン人であれば、配偶者名義の法人と13(a)ビザを組み合わせる形もあります。私が支援した美容院の開業は、まさにこの形でした。

AIやデータセンターが優先分野に入ったとありますが、現地での就職に影響はありますか。

すぐに求人が急増するというより、数年かけて関連の仕事が増えていくと考えるのが現実的です。フィリピンに居ながら仕事を得たい方には、Upworkのような海外の仕事を受けられる仕組みも選択肢になります。私が支援した50代女性は、自宅のパソコンでUpworkの仕事を受けるようになり、報酬の振込のためにTIN(納税者番号)を取得しました。英語がそれほど得意でなくても、仕事を得る道はあります。

ニュー・クラーク・シティの話が出ていますが、マニラ以外への移住も考えたほうがよいですか。

将来の投資先として名前が挙がっているのは事実ですが、生活の便や日本人向けの医療、日本語の通じる環境という点では、今のところマニラ首都圏に厚みがあります。私が支援したお客様も、マニラとセブで迷った末に、日本人や日本企業が多い首都マニラを選ばれました。仕事の場所と暮らしやすさは分けて考え、実際に足を運んでから決めるのが安全です。

制度が変わりそうなので、今は動かず様子を見たほうがよいでしょうか。

制度の細部は変わりますが、口座やTIN、滞在資格といった土台は、いつ始めるにしても必要です。土台を先に整えておけば、制度が変わったときにもすぐ動けます。逆に、優遇の細部だけを待って土台を後回しにすると、機会が来たときに間に合いません。最新の条件は、申請のたびに担当の窓口で確認してください。


活用のコツ(3 Tips)

自分の仕事や事業を、優先分野の一覧に一度あてはめてみましょう

製造、農業、サービス、インフラ、物流、医療、エネルギー、AI、サイバーセキュリティのどれに近いかを考えるだけで、これから増える取引先や求人の方向が見えてきます。紙に書き出して、半年後にもう一度見直してみてください。

土台となる手続きを、必要になる前に済ませておきましょう

現地の銀行口座とTIN(納税者番号)は、事業でも就労でも入口になります。私の経験では、必要になってから慌てて取ると、入力の不備や窓口での待ち時間で余計に時間がかかります。先に整えておけば、あとの動きが速くなります。

数字は必ず一次情報で確かめる習慣をつけましょう

投資額や制度の内容は更新されます。事業や手続きに関わる判断をするときは、BOIやDTI、SEC、BIRといった担当機関の発表を直接見て、最新の条件を確認してください。ニュースは方向を知るために、公式発表は決めるために使います。


ボーナス: マニラ日本人サポートの活用法

マニラ日本人サポートでは、フィリピン永住権を持ち、実際にマニラに移住した日本人が、日本語だけで完結するかたちでお手伝いをしています。投資や優遇のニュースは大きな話に見えますが、実際に必要になるのは、法人の形を決め、許認可を取り、口座と納税の土台を整えるという地道な作業です。そこにこそ経験が効きます。

次のステップとして、次のようなご相談をお受けできます。

  • 法人設立や個人事業の登録(SEC、DTI、Mayor's Permit、BIR)の進め方と、書類の準備・窓口への同行
  • 滞在資格と事業の形を噛み合わせる相談(配偶者ビザや永住ビザなど、ご事情に合った選び方)
  • 現地の銀行口座開設やTIN(納税者番号)の取得の同行と通訳

初回相談は無料です。まずはお気軽にご相談ください。


参考・出典

この記事を書いた人

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運営者 / フィリピン永住権を持つマニラ在住の日本人

  • 東京都出身・生粋の江戸っ子(3代目)
  • フィリピン永住権を取得し自らマニラへ移住(在住13年以上)
  • 移住・ビザ・会社設立・現地生活を実体験
  • 相談から定着まで日本語で一貫サポート

フィリピン永住権を持ち、自分自身がマニラに移り住んだ日本人です。ビザ・住まい・銀行・役所など、はじめての土地でつまずきやすいところを、自分の経験と現地の人脈で一つずつ解きほぐします。記事は「現地で実際にどうなのか」を等身大でお伝えします。ご相談は初回無料・日本語だけで完結します。

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