フィリピンの永住権の種類と選び方|費用と移住後の収入で決める
フィリピンの永住権には、結婚の13(a)、退職者向けのSRRV、投資家向けのSIRV、クオータビザなどがあります。2013年に永住権を取ってマニラに住む運営者が、種類の全体像と、費用を払えるか・移住後の収入をどう確保するかで選ぶ方法をまとめます。

要約
- フィリピンの永住権は、入国管理局の永住ビザ(13(a)・13(g)・13(e)・クオータビザなど)と、退職者庁のSRRV、投資委員会のSIRVなどに分かれます。結婚・元フィリピン人・退職・投資のどれに当たるかで、申し込める種類が決まります。
- 種類を選ぶときは、預託金や投資額などの費用を払えるかと、移住した後の収入をどう確保するかを見ます。年金をもらえる人は、どの永住権でも基本的に大丈夫です。
- 仕事をしなければならない人や、仕事をしたい人は、仕事のできる永住権を選ぶか、現地での対策が必要です。条件は予告なく変わるため、申請のたびに最新の情報を確かめます。
私は2013年にフィリピンの永住権を取得してマニラに移り、マカティのコンドミニアムで13年以上暮らしています。マニラ日本人サポートでは、退職者向けの永住ビザ(SRRV)の取得や、フィリピン人の配偶者のビザを使った美容院の開業を支援してきました。
この記事では、その経験をもとに、フィリピンの永住権にどんな種類があるかの全体像と、費用と移住後の収入から種類を選ぶ方法をまとめます。各種類の細かい条件と手続きは、選ぶのに必要な範囲で短く触れます。
フィリピンの永住権とは
この記事では、期限を決めずにフィリピンに住み続けられる資格を「永住権」と呼びます。
フィリピンで外国人の入国と滞在を扱うのは、入国管理局(Bureau of Immigration、BI)です。入国管理局の覚書では、永住ビザ(immigrant visa)を持つ人を、フィリピンに永住するために国外から来る外国人と定めています。永住ビザには、quota(国籍ごとの人数の枠があるもの)と、non-quota(人数の枠がないもの)の2つがあります。
根拠の法律は、1940年のフィリピン移民法(Commonwealth Act No. 613)の第13条です。第13条では、quotaは1つの国籍につき1年に50人までで、non-quotaには人数の制限がありません。
入国管理局の永住ビザのほかに、退職者や投資家に向けた制度もあります。フィリピン退職者庁(Philippine Retirement Authority、PRA)のSRRVと、フィリピン投資委員会(Board of Investments、BOI)のSIRVです。どちらも、条件を満たしているあいだは期限を決めずに住み続けられるため、この記事では永住権の種類として一緒に扱います。
フィリピンの永住権の種類
入国管理局のサイトでは、永住ビザとして次の種類が並んでいます。
- フィリピン人との結婚による永住ビザ(13A)
- 永住ビザ(Permanent Resident Visa、PRV)
- 元フィリピン人が永住のために戻るときのビザ(13G)
- 永住権を持つ人が戻るときのビザ(13E)
- クオータビザ(13)
- 子どものための永住ビザ(2種類)
同じサイトの「特別ビザ」の欄には、雇用を生む事業をする人向けのSVEGや、投資家向けのビザなどが並んでいます。ここからは、日本人が選ぶときに関わる種類を順に説明します。先に全体をまとめると、次のとおりです。
| 種類 | 当てはまる人 | 扱う機関 |
|---|---|---|
| 13(a) | フィリピン人と結婚している外国人 | 入国管理局 |
| 13(g) | 外国の国籍を取った元フィリピン人と、その配偶者・未婚の未成年の子 | 入国管理局 |
| 13(e) | 以前に永住を認められ、一時的に国外に出てから戻る人 | 入国管理局 |
| クオータビザ | 国交があり、相互主義の国の人(1つの国籍につき1年に50人まで) | 入国管理局 |
| SRRV | 40歳以上の外国人と元フィリピン人 | 退職者庁 |
| SIRV | 7万5千米ドル以上を投資する21歳以上の外国人 | 投資委員会 |
| SVEG | フィリピン人を10人以上採用する外国人 | 入国管理局 |
フィリピン人と結婚している人:13(a)
13(a)は、フィリピン人と有効な結婚をしている外国人が申し込める永住ビザです。入国管理局の本局のほか、各地の入国管理事務所で申し込めます。21歳未満の未婚の子も、条件を満たせば一緒に含められます。
13(a)は、まず仮(Probationary)の永住ビザとして出ます。1年有効の仮のビザを持つ人が、永住(PRV)への切り替えを申し込みます。切り替えの書類には、申請者とフィリピン人の配偶者が、続けて一緒に暮らしてきたことを2人で誓う書面(宣誓供述書)が含まれます。
外務省によると、フィリピン人と一緒に入国する日本人の配偶者は、入国のときに最大1年の無査証滞在(ビザなしの滞在)を認められます。これは1回の入国につき1回限りです。引き続き住む場合は、短期渡航者ビザ(9A)に切り替えるか、13Aを申し込みます。どちらも、最初の滞在許可の期限の2か月前までに手続きをします。
在日フィリピン大使館で申し込む場合、必要書類に、経済能力についての宣誓供述書と、それを示す書類(銀行の残高証明書、土地の権利書など)が含まれます。
関連: フィリピンのパスポート残存期間|入国のとき・大使館での更新・更新後の入国管理局での扱いを時期ごとに確かめる で詳しく解説しています。
元フィリピン人とその家族:13(g)
13(g)は、生まれたときはフィリピン人で、のちに外国の国籍を取った人が、永住のためにフィリピンに戻るときのビザです。同行する配偶者と、未婚の未成年の子も含まれます。
永住権を持つ人が戻るとき:13(e)
13(e)は、以前に永住を認められた人が、一時的に国外に出たあと、手放していないフィリピンの住まいに戻るときのビザです。すでに永住権を持っていた人のための種類です。
関連: フィリピンのコンドミニアムに住む前に確かめること|借りる前・契約・入居後・退去の要点 で詳しく解説しています。
子どものための永住ビザ
母が一時的に国外にいるあいだに生まれた子と、親に永住ビザが出たあとに生まれた子のための永住ビザがあります。
人数の枠があるクオータビザ
クオータビザは、フィリピンと国交があり、相互主義でフィリピン人に同じ移住の扱いを認める国の人が申し込めるビザです。相互主義とは、相手の国がこちらの国民に同じ扱いをする場合に限って認める考え方です。人数は1つの国籍につき1年に50人までで、枠はその年の終わりで消えます。使われなかった枠は、翌年に持ち越せません。
対象は、フィリピンの国益になる資格・技能・知識を持つ人と、事業に十分な資本を持つ人です。2025年11月17日から有効の必要書類の一覧では、資金力や投資の証明として、次のようなものを挙げています。
- 10万米ドル以上を国外から送金したことの証明
- コンドミニアムのユニットを持っている、または買ったことを示す書類
- 既存の会社や事業に10万米ドルを投資したことを示す書類
退職者向けのSRRV
SRRV(Special Resident Retiree's Visa)は、退職者庁の退職プログラムのもとで、入国管理局が出す特別な非移民ビザです。退職者庁は、SRRVを持つ人の特典として、フィリピンでの永住と、何度でも出入国できて期限なく滞在できることを挙げています。申し込めるのは、40歳以上の外国人と元フィリピン人です。
今の退職者庁のページに載っている種類は、ClassicとCourtesyです。
Classicは、年金のある人もない人も選べる種類です。預託金(Visa Deposit、ビザのために銀行に預けるお金)を、制度で認められた投資に回すこともできます。預託金の額は、年金の有無と年齢で次のように分かれています。
| 区分 | 50歳以上 | 40〜49歳 |
|---|---|---|
| 年金あり | 15,000米ドル | 25,000米ドル |
| 年金なし | 30,000米ドル | 50,000米ドル |
年金ありの区分では、一生受け取れる年金が、単身なら月800米ドル以上、扶養家族がいるなら月1,000米ドル以上あることの証明が必要です。
Courtesyは、退職した外交官、国際機関の職員、退役軍人、学術・ビジネス・芸術・スポーツなどで高い実績のある人といった、特別な区分の人向けの種類です。
預託金のほかに、退職者庁の処理手数料が1,500米ドルかかります。年会費は加入時とその後毎年かかり、Classicは本人と扶養家族2人までで360米ドルです。預託金は、国外の銀行から、退職者庁が認めた銀行へ送金します。
退職者庁の沿革によると、最初のSRRVの保持者は日本人でした。私が2013年に取った永住権も、SRRVのスマイルです。スマイルは、預託金を引き出せない代わりに、やめるときに預託金が返ってくる種類でした。スマイルは今の退職者庁のページには載っていないため、検討する場合は退職者庁で確かめてください。
関連: 一時帰国の消費税免税は11月1日からリファンド方式へ|マニラ在住者が出発前と日本到着後にすべきこと で詳しく解説しています。
投資家向けのSIRV
SIRV(Special Investor's Resident Visa)は、投資委員会の制度です。7万5千米ドル以上をフィリピンに送金し、認められた事業に投資する、21歳以上の外国人が対象です。
投資先として認められるのは、上場会社、投資委員会の投資優先計画の分野の会社、製造業・サービス業の会社、1年以上持つ国債です。卸売業の会社の株と、コンドミニアムのユニットへの投資は認められていません。レストランは小売業とされ、投資先に含まれません。外国人が買えるコンドミニアムの範囲は、フィリピンのコンドミニアムに住む前に確かめること|借りる前・契約・入居後・退去の要点で説明しています。
SIRVは、まず6か月有効の仮のビザとして出ます。投資が続いていて、年次の報告を出していれば、期限なく滞在できます。7万5千米ドルの投資を保てなくなると、取り消しの理由になります。
2026年9月の投資委員会のお知らせによると、短期渡航者ビザ(9(a))から期限のないSIRVへ直接切り替えられる人は限られます。SIRVを知らずに、対象の非上場の会社にすでに投資していた人です。
雇用を生む事業をする人:SVEG
SVEG(Special Visa for Employment Generation)は、入国管理局の特別ビザの一つです。合法で続けられる事業で、フィリピン人を実際に10人以上採用する外国人が申し込めます。会社で役職に就く場合は、労働雇用省(DOLE)が出す外国人雇用許可(Alien Employment Permit、AEP)も必要書類に入っています。有効期間や更新については入国管理局のページに書かれていないため、申し込む前に確かめましょう。
永住権の種類の選び方
申し込める種類を確かめる
最初に、自分がどの種類に当たるかを確かめます。フィリピン人と結婚していれば13(a)、元フィリピン人とその家族なら13(g)、40歳以上ならSRRV、投資をするならSIRVやクオータビザが候補です。2つ以上に当たる場合は、次の2つの基準で比べます。
費用を払えるか
私がお客様に永住権の種類をすすめるときは、まず費用を払えるかを見ます。種類ごとに求められるお金は、次のとおりです。
| 種類 | 求められるお金 |
|---|---|
| SRRV(Classic) | 預託金(年金の有無と年齢で15,000〜50,000米ドル)、処理手数料1,500米ドル、年会費(本人と扶養家族2人までで360米ドル) |
| SIRV | 7万5千米ドル以上の投資 |
| クオータビザ | 10万米ドル以上の送金などの資金力の証明 |
| 13(a) | 大使館で申し込む場合は、経済能力を示す書類 |
60代の男性のSRRVスマイルの取得を支援したときは、預託金が当時2万米ドル、代行の手数料が約12万円でした。申請からビザが出るまでは約2か月かかりました。私は、書類の作成、退職者庁への同行と通訳、健康診断の付き添いまでを担当しました。
このお客様の決め手は、費用が安いことと、期限のない永住権であることでした。住む場所はセブとも比べて、日本人と日本企業の多いマニラに決めました。
移住した後の収入をどう確保するか
もう一つの基準は、移住した後に収入を確保できるかです。年金をもらえるなら、どの永住権でも基本的に大丈夫です。SRRVのClassicには年金ありの区分があり、年金なしの区分より預託金が低く決められています。
仕事をしなければならない人や、仕事をしたい人は、仕事のできる永住権を選ぶか、現地でそれなりの対策が必要です。日本で20年美容師をしていた方がマニラで美容院を開いたときは、奥様の名義の法人と13(a)ビザを組み合わせて、合法な形にしました。
退職者庁は、SRRVの特典として、別の就労ビザや学生ビザ・許可が免除されることを挙げています。仕事をする予定なら、申請の前に、その永住権で何ができるかを確かめましょう。また、SIRVではレストランは投資先に含まれないため、飲食店を開く予定ならSIRVの条件には使えません。
永住するか迷っているとき
私自身は、2013年に永住権を取ったとき、フィリピンに永住するかどうかをまだ迷っていました。そのため、費用の安かったSRRVのスマイルを選びました。迷っている段階なら、まず費用を払える範囲で取れる種類から考える方法もあります。
申請と取得後に確かめること
申請は本人が行う
SRRVは、申請のあいだずっとフィリピンにいる必要があります。処理の期間は、書類がそろってから30〜45営業日です。短期渡航者ビザ(9A)に「No Conversion(切り替え不可)」と書かれている人などは、SRRVに直接申し込めません。在日フィリピン大使館の移民ビザも、本人が窓口で申し込みます。
追加の書類を求められることがある
私はビザの手続きで、担当者の判断で追加の書類を求められ、3回足を運んだことがあります。在日フィリピン大使館も、担当官がほかの書類を求めることがあると案内しています。日程には余裕を持たせましょう。
取得後の年次報告と出国許可
外国人登録証(ACR I-Card)を持つ人は、毎年、年初から60日以内に入国管理局で年次報告(Annual Report)を出す義務があります。SRRVとSIRVを持つ人は、それぞれの機関が出すIDを持つため、年次報告を免除されています。
ACR I-Cardを持つ人がフィリピンに6か月以上滞在した後に出国する場合は、あらかじめ入国管理局で出国許可証(ECC)を取ります。出入国のときのパスポートの残存期間は、フィリピンのパスポート残存期間|入国のとき・大使館での更新・更新後の入国管理局での扱いを時期ごとに確かめるで説明しています。
条件と運用は変わる
コロナの時期は、新しいビザの発給が事実上止まっていました。制度は急に動くため、私は申請のたびに最新の運用を確かめています。外務省も、手続きや規則は事前の通告なく変わることがあるとしています。SRRVの条件も変わることがあるため、私は申請のたびに退職者庁で最新の情報を確かめています。
よくある質問
Q: 日本人が申し込めるフィリピンの永住権には、どんな種類がありますか?
フィリピン人と結婚している人は13(a)、40歳以上の人は退職者向けのSRRV、7万5千米ドル以上を投資する人はSIRVが候補です。ほかに、元フィリピン人とその家族の13(g)や、1つの国籍につき1年に50人までのクオータビザがあります。
Q: 年金がなくてもSRRVを取れますか?
SRRVのClassicには年金なしの区分があります。預託金は、50歳以上なら30,000米ドル、40〜49歳なら50,000米ドルで、年金ありの区分より高くなります。移住した後の収入をどう確保するかも、あわせて考えましょう。
Q: 永住権を取ったあと、毎年の手続きはありますか?
ACR I-Cardを持つ人は、毎年、年初から60日以内に入国管理局で年次報告を出します。SRRVとSIRVを持つ人は、年次報告を免除されています。SRRVは、年会費を毎年払います。
まとめ
フィリピンの永住権を選ぶときは、次の順で確かめましょう。
- 種類: 結婚の13(a)、元フィリピン人の13(g)、退職者向けのSRRV、投資家向けのSIRV、人数の枠があるクオータビザのうち、どれに当たるか
- 費用: 預託金・手数料・年会費、投資額、資金力の証明を払えるか
- 収入: 年金があるか。仕事をする場合は、仕事のできる永住権か、現地での対策があるか
- 申請: 本人が手続きできるか、追加の書類に対応できる日程か
- 取得後: 年次報告と出国許可の手続き。条件は申請のたびに最新を確かめる
マニラ日本人サポートでは、これまでSRRVの書類の作成、退職者庁への同行と通訳、健康診断の付き添いや、13(a)ビザを使った開業などを支援してきました。どの永住権が合うか、費用と移住後の収入から考えたい方は、無料でご相談いただけます。まずはお気軽にお問い合わせください。
参考・出典
- フィリピン入国管理局 Immigrant Visa by Marriage (13A)
- フィリピン入国管理局 Permanent Resident Visa (PRV)
- フィリピン入国管理局 BI FORM V-I-005(永住への切り替えの必要書類)
- フィリピン入国管理局 Returning Former Natural-Born Filipino Citizen (13G)
- フィリピン入国管理局 Returning Resident (13E)
- フィリピン入国管理局 Child Born Abroad of Immigrant Mother
- フィリピン入国管理局 Child Born Subsequent to the Issuance of Immigrant Visa of the Accompanying Parent
- フィリピン入国管理局 Quota Visa (13)
- フィリピン入国管理局 クオータビザの必要書類(BOC05.QF.001)
- フィリピン入国管理局 Special Visa for Employment Generation
- フィリピン入国管理局 SVEGの必要書類(BOC05.QF.002)
- 入国管理局 覚書 RADJR-11-004
- フィリピン移民法(Commonwealth Act No. 613)第13条
- フィリピン退職者庁 SRRVisa
- フィリピン退職者庁 Expanded SRRV Program
- フィリピン退職者庁 Historical Highlights
- フィリピン投資委員会 Special Investor's Resident Visa Program Q&A
- フィリピン投資委員会 Advisory to All SIRV Applicants
- 外務省 海外安全ホームページ 安全対策基礎データ フィリピン
- 在日フィリピン大使館 ノンクオータ移民ビザ
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