フィリピン人スタッフのやる気を引き出す3つの方法|マニラで人を雇う日本人の悩みを解決
マニラでフィリピン人スタッフを雇う日本人向けに、モチベーションを上げる3つのマネジメント手法を解説。移住後の会社経営や現地生活でつまずきやすい遅刻・欠勤・お金のトラブルへの対処法まで、実体験をもとに紹介します。

要約
- フィリピン人スタッフは認められることを強く求めるので、良い仕事はその場ですぐ具体的にほめると、やる気が大きく変わります。
- 叱るときは大勢の前を避けて一対一で穏やかに伝えると、「ヒヤ」と呼ばれる恥の文化とぶつからず、素直に受け止めてもらえます。
- 遅刻や急な欠勤、お金の行き違いは、罰するより先にルールを決めて共有しておくほうが、落ち着いて防げます。
フィリピンでビジネスを始めたばかりの日本人にとって、現地スタッフのやる気をどう引き出すかは大きな課題になります。日本の常識がそのまま通じず、良かれと思った指示が空回りしてしまうことも少なくありません。
この記事では、マニラで実際に人を雇ってきた経験をもとに、フィリピン人スタッフのモチベーションを上げる3つの手法をお伝えします。読み終えるころには、明日から試せる具体的な打ち手が手に入るはずです。
やる気が続かないと感じてしまう場面
| つまずく場面 | 具体的な様子 |
|---|---|
| 指示待ちになる | 言われたことだけをこなし、自分から動かない |
| 急にやる気を失う | 数か月で覇気がなくなり、無断欠勤も出る |
| 雇う側の不信感 | 性格のせいに見えるが、実は仕組みで防げる |
スタッフを雇ったのに、指示したことしかやってくれない、と感じる場面は多いはずです。自分から工夫してほしいのに、言われたことだけをこなして手が止まってしまう、という声をよく聞きます。
最初は元気に働いていたのに、数か月で急に覇気がなくなるケースもあります。無断で休んだり、連絡が取れなくなったりして、こちらが振り回されてしまうこともあるでしょう。
こうした状況が続くと、雇う側はどうしても不信感を抱きやすくなります。ただ、その多くはスタッフの性格ではなく、マネジメントの仕組みで防げるものなのです。
なぜフィリピンではこうなりやすいのか
| 背景 | 内容 |
|---|---|
| 家族第一の価値観 | 給料は生活のため。忠誠心より家族を養うことが優先される |
| 転職への抵抗が低い | 条件が良ければ移り、長く勤める美徳はあまり一般的でない |
| 恥(ヒヤ)の文化 | 人前で叱られると強い屈辱を感じてしまう |
フィリピンの職場では、給料は生活のためのものという意識が日本以上に強い傾向があります。会社への忠誠心よりも、家族を養うことが第一という価値観が根づいています。
フィリピン人スタッフの価値観を理解することが、良い関係づくりの第一歩になります
そのため、より条件の良い仕事が見つかればあっさり転職することも珍しくありません。日本のように長く勤めることが美徳という考え方は、あまり一般的ではないという点を先に押さえておきましょう。
もうひとつ、人前で叱られることを極端に嫌う文化があります。フィリピンには「ヒヤ」と呼ばれる恥の感覚があり、みんなの前で注意されると強い屈辱を感じてしまうのです。
この背景を知らずに日本流の厳しい指導をすると、やる気を失わせるだけで終わってしまいます。相手の価値観を前提にした関わり方が欠かせません。
モチベーションを上げる3つの手法
| 手法 | ポイント |
|---|---|
| その場でほめる | 良い仕事をしたら、すぐ具体的にほめる |
| 一対一で注意する | 大勢の前を避け、個別に穏やかに伝える |
| 頑張りに報いる | 手当や心遣いで、努力を目に見える形にする |
ここからは、実際に効果があった3つの手法を紹介します。どれも特別な予算はいらず、今日から始められるものばかりです。
良い仕事をその場で具体的にほめることが、やる気を引き出す一番の近道です
関連: 英語が話せなくてもフィリピンで起業できる|マニラで通訳・秘書を雇う方法と費用 で詳しく解説しています。
1つ目:小さな成果をその場でほめる
フィリピン人スタッフは、認められることを強く求める傾向があります。良い仕事をしたら、その場ですぐ、具体的にほめることが何より効きます。
「昨日の報告書、数字が正確で助かった」のように、何が良かったかを言葉にして伝えましょう。人前でほめられると本人の誇りにもつながり、周りのスタッフにも良い刺激が広がっていきます。
関連: フィリピン 現地採用の進め方|マニラで会社設立後に使える求人サイトと面接のコツ で詳しく解説しています。
2つ目:注意は一対一で穏やかに伝える
叱るときは、必ず他の人がいない場所を選びます。大勢の前での叱責は避け、個別に落ち着いて話すことがとても大切です。
「次はこうしてほしい」と改善点を前向きに伝えると、相手も素直に受け止めてくれます。感情的にならず、あくまで一緒に解決するという姿勢を見せるとよいでしょう。
関連: マニラ最低賃金₱85引き上げ解説|在フィリピン日本企業の人件費対策 で詳しく解説しています。
3つ目:頑張りに見える形で報いる
努力が待遇に反映されると、スタッフのやる気は大きく変わります。金額の大小よりも、評価される仕組みがあること自体が重要です。
たとえば、月に一度の皆勤手当として₱1,000ほど(日本円でおよそ2,500円前後の概算です)を用意する方法があります。小さな金額でも、頑張りが目に見える形になると本人の励みになるのです。
あわせて、誕生日を祝ったり、家族の事情に配慮したりする心遣いも効果を発揮します。お金だけでなく、人として大切にされていると感じてもらうことが、長く働いてもらう鍵になります。
働き方に融通をきかせることも、やる気に直結するのです。コロナが広がったころ、マニラで会社を経営している日本人の知り合いが、従業員を在宅勤務に切り替えたところ、仕事の効率はかえって上がったと話していました。
現地で実際に起きることと対処法
| 起きること | 対処法 |
|---|---|
| 時間にルーズ | 遅刻の回数と手当を結びつけたルールを先に決める |
| 急な欠勤 | 連絡のルールを事前に共有しておく |
| お金が合わない | レシートの提出を習慣づけ、少額でも記録を残す |
| 回線が不安定 | 予備のポケットWi-Fiを用意しておく |
良い手法を取り入れても、現地ならではのつまずきは起こります。ここでは代表的な例と、その対処を具体的に見ていきましょう。
働きやすい環境と明確なルールがあれば、スタッフは長く定着してくれます
まず、時間にルーズな面はよく話題になります。始業時刻に遅れてくることもありますが、頭ごなしに怒るのではなく、遅刻の回数と手当を結びつけたルールを最初に決めておくと改善しやすくなるのです。
体調不良や家族の用事による急な欠勤も起こりがちです。あらかじめ連絡のルールを共有しておけば、当日でも一報が入るようになり、こちらの対応もぐっと楽になります。
備品の購入などでお金を預けると、金額が合わないという場面に出くわすこともあるでしょう。レシートの提出を習慣づけ、少額でも記録を残す仕組みを作れば、余計な疑いを持たずに済みます。
ネット回線が不安定で仕事が止まることも珍しくありません。予備としてポケットWi-Fiを用意しておくと、停電や回線トラブルのときも慌てずに対応できます。
実際、日本で20年ほど美容師をしていた方のマニラでの美容院開業を支援したことがあります。若いスタッフはすぐに見つかり、開業から5年経った今も2〜3人のスタッフで来客が絶えません。丁寧に関わり、働きやすい環境を整えれば、フィリピンでもスタッフは長く定着してくれるのです。
どれも、起きてから慌てるのではなく、先にルールを決めておくことで防げるものばかりです。仕組みで支える意識を持てば、現地でも十分に良いチームを作れます。
よくある質問
Q: スタッフのやる気を上げるのに、まとまった予算は必要ですか?
A: 大きな予算はほとんどいりません。その場でほめる、個別に穏やかに注意するといった関わり方は無料で始められます。少額の手当を足すだけでも、十分な効果が出ることが多いです。
Q: 遅刻や急な欠勤が多いのですが、厳しく罰したほうがよいですか?
A: いきなり罰を与えるより、先にルールを決めて共有するほうが効果的です。遅刻の回数と手当を結びつけるなど、基準をはっきりさせておくと本人も納得しやすくなります。
Q: 英語やタガログ語が話せなくてもマネジメントはできますか?
A: 基本的な英語があれば十分に運営できます。細かいニュアンスが不安なときは、通訳や日本語対応のサポートを活用する方法もあるので安心してください。
Q: ほめて甘やかすと、逆にだらけてしまいませんか?
A: ほめることと基準をゆるめることは別ものです。良い点はしっかり認めつつ、改善点は個別に伝えれば、自然とメリハリが生まれてきます。
まとめ
フィリピン人スタッフのモチベーションは、その場でほめる、個別に穏やかに注意する、頑張りに見える形で報いるという3つで大きく変わります。背景にある価値観を理解し、仕組みで支えることが何よりの近道です。
時間や連絡、お金のトラブルも、先にルールを決めておけば落ち着いて対処できます。現地の事情を知ったうえで関われば、長く一緒に働ける良いチームを築けるはずです。
それでも、実際に人を雇う場面では判断に迷うことも多いものです。マニラ日本人サポートでは、採用やマネジメントの悩みについて無料相談を受け付けていますので、気軽に声をかけてください。
この記事を書いた人
関連記事

フィリピンの電気代はアジア最高峰?オフィス維持費で盲点になりやすい5つの費用
フィリピンでオフィスを構えると、家賃や人件費の陰で維持費に誤算が生じがちです。アジアでも高水準とされる電気代、二重化が必要なネット回線、停電対策、共益費、水道など盲点になりやすい5つの費用と、契約前に数字で確認する備え方を在比日本人目線で解説します。
2026/7/25

オフィス家具やPCの調達:マカティ周辺のおすすめショップ|フィリピンで会社の立ち上げ備品を賢く揃える
マニラ・マカティ周辺でオフィス家具とPCを調達する方法を、新品チェーン・ジャパンサープラス(中古)・ECの3ルートで解説します。Official Receiptの取得、英語配列PCの注意、IKEAや中古家具の活用術まで、フィリピンでの会社立ち上げに役立つ実務ガイドです。
2026/7/24

フィリピンでの法人銀行口座開設が「難しい」と言われる理由と対策|マニラで会社設立後に困らない準備
フィリピン・マニラでの法人銀行口座開設が難しい理由(審査厳格化・支店裁量・紹介文化)と、必要書類の全体像、スムーズに開設する5つの対策を現地在住13年の日本人が解説します。会社設立後の口座開設で出直しを防ぐ実務ガイドです。
2026/7/23

コワーキングスペース vs 自社オフィス、初期のフィリピン進出にはどちらが良い?費用と柔軟性で考える選び方
フィリピン・マニラ進出の初期にコワーキングスペースと自社オフィスのどちらを選ぶべきかを、費用・柔軟性・信用の3軸で比較します。段階別の目安、会社設立の登記住所の注意点、自社オフィスへ移行するタイミングまで、現地在住13年の日本人が解説します。
2026/7/22

マカティでオフィスを借りる!賃貸契約の相場と初期費用の内訳
マニラ・マカティでオフィスを借りるときの賃料相場(平米単価)と初期費用の内訳を現地在住13年の日本人が解説します。保証金・前家賃・共益費・内装費の目安、契約書で確認すべき値上げ条項や原状回復の注意点まで、フィリピンでの会社設立後のオフィス探しに役立つ実務ガイドです。
2026/7/21

フィリピンの最低賃金制度とは|マニラ首都圏と地方都市の格差を最新レートで比較
フィリピンの最低賃金は地域ごとに日給ベースで決まります。2026年最新のマニラ首都圏(NCR)と地方都市のレート比較、約1.7倍の格差の理由、雇用主が見るべき人件費の総額まで、在比日本人向けにわかりやすく解説します。
2026/7/20

