フィリピン会社設立は外資100%とフィリピン資本どちらが最適?マニラ移住者が解説
フィリピン・マニラで会社設立を考える在比日本人・移住検討者へ。外資100%とフィリピン資本(60対40)の違い、業種別の可否、必要な資本金、手続きの注意点を、現地でビジネスを運営する立場から整理します。

フィリピンで会社を作ろうと考えたとき、最初に必ず気になるのが「外国人の自分は100%出資できるのか、それともフィリピン人のパートナーが必要なのか」という点だと思います。ネットで調べても、サイトによって書いてある内容がバラバラで、結局どちらが自分に向いているのか分からず手が止まってしまう人も多いはずです。
この記事では、マニラに移住して実際に現地で会社を運営している立場から、外資100%とフィリピン資本(60対40)の違いを、業種ごとの考え方や必要な資本金まで含めて整理します。読み終わるころには、自分のビジネスがどちらの形に当てはまりそうか、判断の軸が持てるようになります。
要約
- 外資100%でやれるかどうかは、その業種がネガティブリストに載っているかで決まり、リスト外なら原則として100%出資ができます。
- 国内向けで外資100%にすると最低払込資本金は約1,100万ペソ(条件次第で約560万ペソ)ですが、輸出が売上の6割以上を占める輸出企業なら5,000ペソほどから設立できます。
- リストに載る業種ではフィリピン人が6割以上を持つ60対40の形が必要で、名義だけ借りるダミーは反ダミー法で重く罰せられます。
「外資100%でいけるのか」が分からず動けない
| よくある悩み | 実際のところ |
|---|---|
| 自分の業種は外資100%で登記できるのか分からない | 業種ごとに可否がはっきり分かれている |
| フィリピンは外国人出資に厳しいというイメージだけがある | リスト外の業種なら100%出資が普通にできる |
| 外資100%は資本金が高額だと思い込んでいる | 輸出メインなら少額の資本金で100%出資が可能 |
会社設立の相談で一番多いのが、「自分のビジネスは外資100%で登記できますか?」という質問です。多くの人が、フィリピンは外国人の出資に厳しいというイメージだけを持っていて、具体的にどの業種がどこまで許されるのかまでは知りません。
この「分からなさ」が、行動を止めてしまう大きな原因になります。実際には、業種によって100%出資が当たり前にできる場合と、フィリピン人が最低60%を持たないといけない場合がはっきり分かれています。ここを最初に理解しないまま進めると、後から会社の形を作り直すことになり、時間もお金も余計にかかります。
もう一つよくあるのが、資本金の金額に関する誤解です。「外資100%なら何百万ペソも用意しないと無理」と思い込んでいる人がいますが、輸出メインのビジネスなら、ごく少額の資本金で100%出資が認められることもあります。条件次第で必要額が大きく変わるため、ここも整理が必要です。
関連: フィリピンの会社設立で要注意!ダミー禁止法(Anti-Dummy Law)の名義貸しリスクと対策 で詳しく解説しています。
なぜフィリピンには外資の壁があるのか
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 根拠となるルール | 憲法と外国投資法で外国人の出資比率が決まる |
| ネガティブリスト(FINL) | 載っていない業種は原則100%可、載っている業種は40%まで等に制限 |
| 近年の動き | 通信・国内海運・鉄道などが緩和され、100%可の業種が増加 |
フィリピンでは、憲法と「外国投資法(Foreign Investments Act)」という法律によって、外国人がどこまで会社を持てるかが決められています。基本的な考え方は「フィリピン人の仕事や財産を守りつつ、外国からのお金や技術は歓迎する」というものです。
フィリピンでは憲法と外国投資法、ネガティブリストで外国人の出資比率が決まります。
その仕組みの中心にあるのが「ネガティブリスト(Foreign Investment Negative List、略してFINL)」と呼ばれる一覧表です。このリストに載っていない業種は、原則として外資100%でやってよいというルールになっています。逆にリストに載っている業種は、外国人の出資が40%までに制限されたり、完全に禁止されたりします。
近年は外国からの投資を呼び込むために、規制がだいぶ緩められてきました。たとえば2022年の法改正で、通信・国内海運・鉄道などはこれまでの「公益事業」という枠から外され、外資100%が認められる業種が増えています。一方で、土地・マスメディア・教育などは今もフィリピン人中心でなければならず、業種ごとの線引きが残っています。
外資100%とフィリピン資本、進め方の違い
| 会社の形 | 最低払込資本金の目安 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 外資100%・国内向け | 約1,100万ペソ(条件次第で約560万ペソ) | リスト外でフィリピン国内向けに売る業種 |
| 外資100%・輸出企業 | 5,000ペソほど〜 | 輸出が売上の60%以上を占める業種 |
| フィリピン資本(60対40) | 業種により異なる | リストに載っている業種 |
| 小売業など特別ルール | 2,500万ペソほど | 専用の資本要件がある業種 |
まず確認すべきは、自分のやりたい業種がネガティブリストに載っているかどうかです。載っていなければ外資100%の現地法人を作れますし、載っていれば60対40のフィリピン資本の会社にする必要があります。この判定が、すべての出発点になります。
外資100%か60対40かで、必要な資本金や手続きの進め方が変わります。
外資100%でフィリピン国内向けのビジネス(国内のお客さん相手に売る業種)をする場合、原則として最低払込資本金は約1,100万ペソ(米ドルで20万ドル相当)が必要です。ただし、先端技術を使う、またはフィリピン人を15人以上雇うといった条件を満たせば、約560万ペソ(10万ドル相当)まで引き下げられます。
一方で、輸出が売上の60%以上を占める「輸出企業」なら話は別です。この場合は外資100%でも資本金のハードルがほとんどなく、5,000ペソほどの少額からでも設立が可能です。BPOや製造業の輸出、海外向けのサービス業などがこの形に当てはまりやすいです。
フィリピン資本(60対40)で進める場合は、信頼できるフィリピン人の共同出資者を見つけることが最も重要になります。出資比率は外国人が最大40%までで、残り60%以上をフィリピン側が持ちます。名義だけ借りる「ダミー」は反ダミー法(Anti-Dummy Law)で厳しく罰せられるため、絶対に避けてください。
実際に、日本で20年ほど美容師をしていた方のマニラでの美容院開業を私が手伝ったときは、その方がフィリピン人女性と結婚されていたので、妻名義の法人に13(a)ビザを組み合わせて、完全に合法な形にしました。初期費用は物件の保証金から内装・機材まで全部で約30万ペソで、心配していたDTI、Mayor's Permit、BIRなどの許認可も、思ったよりすんなり通りました。フィリピン側にきちんとした出資者がいる形だと、こうして手続きがスムーズに進むことも多いです。
必要書類は会社の形によって多少違いますが、共通して使うものとして、証券取引委員会(SEC)への登記書類、定款、出資者のパスポート、資本金の海外送金を証明する銀行証明などがあります。外資100%で一定額以上の資本金を入れる場合は、その送金記録が後の手続きで重要になります。
小売業など一部の業種には、上記とは別に専用のルールがあります。たとえば小売業は外資100%も可能ですが、最低払込資本金として2,500万ペソほどが求められるなど、業種別の特別ルールを必ず確認する必要があります。
関連: フィリピンで会社設立する方法|20万ドル規制を合法的に回避する4つの道【マニラ起業】 で詳しく解説しています。
現地で実際に起きること、つまずきやすい点
| 起きること | 対処のポイント |
|---|---|
| 役所の手続きが予定よりずれる | 余裕を持ったスケジュールを組む |
| 業者による過剰請求 | 複数の見積もりを取り、項目ごとに確認する |
| 回線やオンラインシステムが不安定 | バックアップ回線と余裕ある日程を用意する |
| 業種判定を間違えて会社の形を作る | 設立前に専門家へ確認する |
まず時間です。フィリピンの役所は日本のように予定どおりには進みません。SECの登記や各種許認可は、書類に不備がなくても予定より数週間ずれることが珍しくなく、「今週中に終わる」と言われても鵜呑みにしないほうが安全です。
役所の手続きは予定どおりに進みにくく、余裕を持った段取りが安心です。
次に多いのが、業者や仲介者による過剰請求です。会社設立の代行を頼んだら相場より大幅に高い金額を提示された、というケースは少なくありません。複数の見積もりを取り、何にいくらかかるのかを項目ごとに確認するだけで、こうした上乗せはかなり防げます。
回線やオンライン手続きの不安定さも、地味につまずく点です。役所のオンラインシステムが途中で止まる、メールの返信が来ないといったことが普通に起きるため、余裕を持ったスケジュールを組んでおく必要があります。
たとえば、あるお客様のTIN(納税者番号)取得を手伝ったときも、BIRのオンラインシステム(ORUS)から申し込んだところ、入力情報の不備でそのままでは進めず、結局その不備を解消するために窓口まで同行しました。窓口では2〜3時間ほどで問題なく発行されたので、オンラインで詰まったら早めに窓口へ切り替える判断も大切だと感じます。
そして最も深刻な失敗が、業種の判定を間違えて会社の形を作ってしまうことです。本来は40%までしか外資が持てない業種なのに100%で登記しようとして止まる、あるいは逆に100%でいけたのに不要なフィリピン人パートナーを入れてしまう、という事例があります。最初の判定さえ正しければ避けられるので、ここだけは専門家に確認することをおすすめします。
関連: マカティにAI拠点誕生|在比日本人の働き方と会社設立が変わる理由 で詳しく解説しています。
よくある質問
Q: 外資100%とフィリピン資本、どちらが得ですか?
A: 一概には言えません。自分の業種がネガティブリストに載っているかと、国内向けか輸出向けかで最適な形が変わります。リスト外で輸出中心なら外資100%が有利ですし、リスト内の業種ならフィリピン資本にせざるを得ません。
Q: フィリピン人パートナーがいなくても会社は作れますか?
A: 業種がネガティブリストに載っていなければ、フィリピン人の共同出資者なしで外資100%の会社を作れます。ただし土地を所有できないなど、別の制限が残る点には注意が必要です。
Q: 資本金は最低いくら必要ですか?
A: 会社の形によって大きく違います。外資100%で国内向けなら原則約1,100万ペソ、条件を満たせば約560万ペソまで下がり、輸出企業なら5,000ペソほどから可能です。
Q: 名義だけフィリピン人に貸してもらう形ではダメですか?
A: それは反ダミー法に違反し、罰金や事業停止などの重い処分の対象になります。短期的には楽に見えても、後で会社ごと失うリスクがあるため、絶対に避けてください。
Q: 後から会社の形を変えることはできますか?
A: 変更自体は可能ですが、手続きが複雑で、費用も時間もかかります。最初の段階で正しい形を選んでおくほうが、結果的にずっと安く済みます。
まとめ
外資100%とフィリピン資本のどちらが向いているかは、業種がネガティブリストに載っているか、そして国内向けか輸出向けかという2つの軸でほぼ決まります。リスト外で輸出中心なら外資100%が有利で、資本金のハードルも低く抑えられます。
一方、リストに載っている業種では、信頼できるフィリピン人パートナーと組む60対40の形が必要になります。最初の業種判定を間違えると、後で会社を作り直す羽目になるため、設立前の確認がとても大切です。
次のアクションとして、まず自分のビジネスがどの業種に当たるかを書き出し、ネガティブリストと照らし合わせてみてください。判断に迷う場合や、自分のケースで必要な資本金や手続きを具体的に知りたい場合は、マニラ日本人サポートの無料相談をご利用ください。現地で実際に会社を運営している立場から、状況に合わせた進め方を一緒に整理します。
参考・出典
- フィリピン外国投資法(UNCTAD Investment Policy Hub): https://investmentpolicy.unctad.org/investment-laws/laws/95/philippines-foreign-investment-act
- フィリピンの外国投資規制の改正動向(Alliott Global Alliance): https://www.alliottglobal.com/insights/recent-revisions-in-foreign-investment-laws-in-the-philippines/
- フィリピンの外資出資規制ガイド(Global Law Experts): https://globallawexperts.com/foreign-ownership-requirements-philippines/
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