フィリピンで日本人スタッフを現地採用する方法|9G就労ビザ・AEPと給与相場をマニラ在住者が解説

フィリピン・マニラで日本人スタッフを現地採用する際に必要な9G就労ビザとAEP、費用や給与相場をまとめました。移住して会社を運営する視点から、手続きの流れ・生活実態・つまずきやすい点と対策まで具体的に解説します。

執筆者
執筆者執筆者

フィリピン永住権・マニラ在住13年以上 / 移住・ビザ・ビジネスを日本語でサポート

フィリピンで日本人スタッフを現地採用する方法|9G就労ビザ・AEPと給与相場をマニラ在住者が解説

フィリピンで会社を運営していると、日本語で細かい調整ができる日本人スタッフがどうしても必要になる場面が出てきます。ただ、外国人を現地で雇うとなると、ビザの手続きや給料の決め方が分からず、二の足を踏む方は少なくありません。

この記事では、現地採用の日本人を雇うときに必要なビザと、給与のだいたいの相場を、実際にかかる費用も含めて整理します。マニラで会社を回してきた経験をもとに、つまずきやすいところと対策までまとめました。

要約

  • 現地採用の日本人を合法的に働かせるには、DOLEが出すAEPと移民局が出す9Gビザの二つが必要で、代行込みなら新規でおよそ₱140,000前後(約36万円の概算)が目安です。
  • 給料は職種や経験で幅がありますが、月₱100,000〜150,000(約26万〜39万円の概算)あたりが一つの目安で、13か月目の給与や社会保険の会社負担も予算に入れておきます。
  • 手続きは予定より遅れがちなので、着任日にはビザ発給の1〜2か月の余裕を持たせ、費用の内訳は事前に書面で確認しておくと安心です。

日本人スタッフを雇いたいのに、ビザと給料の相場が見えない

読者の悩み具体的な中身
何から始めるか分からないビザが必要か、必要ならいくらかかるかで止まってしまう
給料の相場が見えない日本の感覚だと高すぎたり、安すぎて応募が来なかったりする
費用負担があいまい会社と本人のどちらが払うかで、あとから認識がずれる

現地の日系企業でよく聞くのが、「日本人を一人採りたいが、何から手をつければいいのか分からない」という声です。求人を出す前に、そもそもその人を合法的に働かせるためのビザが要るのか、要るならいくらかかるのか、ここでまず止まってしまいます。

給料の話も悩みの種です。日本の感覚で決めると高すぎたり、逆に安く出しすぎて応募が来なかったりと、ちょうどいい線が見えにくいのが正直なところです。

さらに、ビザ費用を会社が負担するのか本人が負担するのかという点でも、あとから認識のズレが起きやすいです。ここを最初に押さえておかないと、採用後にもめる原因になります。

関連: フィリピン就労ビザ(9G)の取得期間と費用|マニラ移住前に知るべき手続きの流れ【2026年最新】 で詳しく解説しています。

なぜフィリピンでの外国人雇用は手間がかかるのか

項目内容
フィリピン人優先の原則外国人を雇うには「なぜこの人か」を役所に説明する必要がある
AEP(外国人雇用許可証)労働雇用省(DOLE)が発行し、その会社で雇ってよいと認める許可
9G(就労ビザ)移民局が発行し、これを取ってはじめて合法的に働ける

フィリピンには、雇用ではまずフィリピン人を優先するという考え方が憲法レベルで根づいています。そのため、外国人を雇うときは「なぜフィリピン人ではなくこの人なのか」を役所に説明しなければなりません。

フィリピンで外国人を雇用する際に必要なAEPと9G就労ビザの書類を確認する様子 外国人の雇用にはDOLEのAEPと移民局の9Gビザの二つが必要になります。

この仕組みがあるので、外国人を働かせるには二つの許可が要ります。一つは労働雇用省(DOLE)が出すAEP(外国人雇用許可証)、もう一つは移民局が出す9G(就労ビザ)です。AEPで「この会社でこの外国人を雇ってよい」と認められ、その上で9Gを取ると、はじめて合法的に働けるようになります。

日本人だからといって手続きが省けるわけではありません。観光ビザのまま働かせるのは違法で、見つかれば本人も会社も罰則の対象になります。だからこそ、採用と同時にビザの段取りを進めることが大事です。

AEPと9Gビザ、取得の流れと必要書類

段階・項目内容目安
①AEP申請雇用契約書・パスポート写し・顔写真・営業許可書など。求人掲載を求められることもあるDOLEで手続き
②9Gビザ申請AEP許可書+申請書一式+会社書類。面接あり発給まで数週間〜2〜3か月
費用の目安AEP+9Gをセットで新規取得(代行込み)₱140,000前後(約36万円の概算)
費用の負担基本は雇用する会社側が負担求人段階で明示

手続きはAEP → 9Gビザの順で進みます。まずDOLEでAEPを申請し、その許可が下りてから移民局で9Gビザを申請するという流れです。

マニラの役所で9G就労ビザとAEPの申請書類を準備する現地採用の手続きイメージ AEPから9Gビザへと進む申請の流れと、必要書類をそろえていきます。

AEP申請では、雇用契約書、本人のパスポートのコピー、顔写真、会社の営業許可書などをそろえます。あわせて、そのポジションを募集した実績を示すために新聞などへの求人掲載が求められることもあります。これはフィリピン人の応募機会を確保するための決まりです。

9Gビザの申請には、AEPの許可書に加えて、申請書一式と会社側の書類が必要です。提出後に面接の案内があり、フィリピン人上司の同伴を求められる場合もあります。発給までは、書類提出からおおむね数週間から2〜3か月ほどを見ておくと安心です。

費用の目安も押さえておきます。代行業者に依頼した場合、AEPと9Gをセットで新規取得すると₱140,000前後(およそ36万円ほど、為替により変動する概算)が一つの相場です。役所へ支払う実費だけならこれより安く収まりますが、書類の不備を避けたい場合は代行を使うケースが多く見られます。

これらの費用は、基本的に雇用する会社側が負担するのが一般的です。求人票や採用面談の段階で、どちらが負担するのかをはっきり伝えておくと、後々のトラブルを防げます。

手を動かしてみると、想像より滞りなく進む場面もあります。雇用の形は少し違いますが、日本で20年ほど美容師をされていた方のマニラ開業を私が手伝ったときは、奥さんがフィリピン人だったので、奥さん名義の法人と13(a)ビザという形で完全に合法な体制に整えました。DTIやMayor's Permit、BIRといった許認可は思ったよりすんなり通り、現地の若いスタッフもすぐに見つかりました。書類さえきちんとそろえれば、合法的な体制づくりはちゃんと形になります。

関連: 【フィリピン就労ビザ】観光ビザから切り替えは可能?マニラで働くための基礎知識 で詳しく解説しています。

現地で実際に起きること、そして防ぎ方

よく起きること対処のしかた
書類が予定通りに進まない着任日にビザ発給の1〜2か月の余裕を足して設定する
あとから追加費用が出る総額と含まれる項目を書面で確認し、相見積もりも取る
連絡が止まる・回線が不調担当者任せにせず、進み具合を定期的に確認する

手続きを進めていると、日本の役所の感覚とは違う出来事によくぶつかります。まず、書類の処理が予定通りに進まないことが珍しくありません。「明日できる」と言われて数週間待つ、といった場面は普通に起こります。

マニラのオフィスで日本人スタッフとフィリピン人スタッフが一緒に働く現地採用の職場風景 手続きの遅れを見込んで着任日に余裕を持たせると、現地でも安心して働き始められます。

私自身、永住ビザの取得を手伝ったときも、ふだんなら1か月ほどで下りるところが、そのときは2か月ほどかかりました。ビザの種類は違っても、役所の処理がこちらの予定どおりに進むとは限らない点は同じです。

対策はシンプルで、余裕を持ったスケジュールを組むことです。ビザが下りる前提で本人の渡航や着任日を固めてしまうと、後ろ倒しになったときに全員が困ります。着任日は、ビザ発給に1〜2か月の余裕を足して設定すると安心です。

代行業者とのやり取りでは、見積もりの内訳をはっきりさせておくことも大事です。「あとから追加費用が発生した」というトラブルは、最初に総額と含まれる項目を書面で確認しておけば、ほとんど防げます。相見積もりを取って相場からかけ離れていないか見るのも有効です。

現地では、連絡が途中で止まったり、回線の不調で書類のやり取りが滞ったりもします。担当者一人に任せきりにせず、進み具合を定期的に確認する習慣をつけておくと、抜け漏れに早く気づけます。細かく催促するくらいがちょうどよいです。

関連: マニラ最低賃金₱85引き上げ解説|在フィリピン日本企業の人件費対策 で詳しく解説しています。

よくある質問

Q: ビザの費用は会社と本人のどちらが負担しますか。

A: 一般的には、AEPと9Gビザの費用は雇用する会社側が負担します。本人負担にするケースもありますが、その場合は求人の段階ではっきり伝えておかないと、あとで不満につながります。採用条件の一つとして最初に決めておくと安心です。

Q: 観光ビザで来てもらって、そのまま働いてもらうことはできますか。

A: できません。就労にはAEPと9Gビザが必要で、観光ビザのまま働かせるのは違法です。見つかった場合は本人も会社も罰則の対象になるため、必ず正規の手続きを踏んでください。

Q: 給料はどのくらいで設定すればいいですか。

A: 職種や経験によりますが、現地採用の日本人だと月₱100,000〜150,000(およそ26万〜39万円、為替により変動する概算)あたりが一つの目安です。営業や管理職、専門職はこれより高くなることもあります。あわせて、13か月目の給与(13th month pay)や社会保険の会社負担も予算に入れておく必要があります。

Q: ビザが下りるまでどれくらいかかりますか。

A: 書類がそろっていれば、AEPと9Gを合わせておおむね1〜3か月ほどが目安です。ただし役所の混み具合で前後するため、着任日には余裕を持たせておくと安心です。

要点の整理と次の一歩

現地採用の日本人を雇うときは、AEP(外国人雇用許可証)と9G(就労ビザ)の二つが必要になります。取得はAEPから始めて9Gへと進み、代行込みなら新規で₱140,000前後(およそ36万円ほどの概算)を見ておくと現実的です。

給料は職種や経験で幅がありますが、月₱100,000〜150,000あたりが一つの目安になります。13か月目の給与や社会保険の会社負担も忘れずに予算へ組み込んでおくと、あとで慌てずにすみます。

手続きは予定通りに進まないことも多いので、着任日には1〜2か月の余裕を持たせておくと安心です。費用の内訳を書面で確認し、進み具合をこまめに追う習慣をつけておけば、たいていのトラブルは避けられます。

ビザの段取りや給与設計は、会社の状況によって最適な形が変わります。判断に迷うところがあれば、マニラ日本人サポートの無料相談を使って、具体的なケースに合わせて一緒に整理していきましょう。

参考・出典

この記事を書いた人

執筆者
執筆者

運営者 / フィリピン永住権を持つマニラ在住の日本人

  • 東京都出身・生粋の江戸っ子(3代目)
  • フィリピン永住権を取得し自らマニラへ移住(在住13年以上)
  • 移住・ビザ・会社設立・現地生活を実体験
  • 相談から定着まで日本語で一貫サポート

フィリピン永住権を持ち、自分自身がマニラに移り住んだ日本人です。ビザ・住まい・銀行・役所など、はじめての土地でつまずきやすいところを、自分の経験と現地の人脈で一つずつ解きほぐします。記事は「現地で実際にどうなのか」を等身大でお伝えします。ご相談は初回無料・日本語だけで完結します。

マニラ暮らしをまるごとサポート!

初回相談は無料です。お気軽にご相談ください。

関連記事

フィリピンの電気代はアジア最高峰?オフィス維持費で盲点になりやすい5つの費用
ビジネス・起業

フィリピンの電気代はアジア最高峰?オフィス維持費で盲点になりやすい5つの費用

フィリピンでオフィスを構えると、家賃や人件費の陰で維持費に誤算が生じがちです。アジアでも高水準とされる電気代、二重化が必要なネット回線、停電対策、共益費、水道など盲点になりやすい5つの費用と、契約前に数字で確認する備え方を在比日本人目線で解説します。

2026/7/25

オフィス家具やPCの調達:マカティ周辺のおすすめショップ|フィリピンで会社の立ち上げ備品を賢く揃える
ビジネス・起業

オフィス家具やPCの調達:マカティ周辺のおすすめショップ|フィリピンで会社の立ち上げ備品を賢く揃える

マニラ・マカティ周辺でオフィス家具とPCを調達する方法を、新品チェーン・ジャパンサープラス(中古)・ECの3ルートで解説します。Official Receiptの取得、英語配列PCの注意、IKEAや中古家具の活用術まで、フィリピンでの会社立ち上げに役立つ実務ガイドです。

2026/7/24

フィリピンでの法人銀行口座開設が「難しい」と言われる理由と対策|マニラで会社設立後に困らない準備
ビジネス・起業

フィリピンでの法人銀行口座開設が「難しい」と言われる理由と対策|マニラで会社設立後に困らない準備

フィリピン・マニラでの法人銀行口座開設が難しい理由(審査厳格化・支店裁量・紹介文化)と、必要書類の全体像、スムーズに開設する5つの対策を現地在住13年の日本人が解説します。会社設立後の口座開設で出直しを防ぐ実務ガイドです。

2026/7/23

コワーキングスペース vs 自社オフィス、初期のフィリピン進出にはどちらが良い?費用と柔軟性で考える選び方
ビジネス・起業

コワーキングスペース vs 自社オフィス、初期のフィリピン進出にはどちらが良い?費用と柔軟性で考える選び方

フィリピン・マニラ進出の初期にコワーキングスペースと自社オフィスのどちらを選ぶべきかを、費用・柔軟性・信用の3軸で比較します。段階別の目安、会社設立の登記住所の注意点、自社オフィスへ移行するタイミングまで、現地在住13年の日本人が解説します。

2026/7/22

マカティでオフィスを借りる!賃貸契約の相場と初期費用の内訳
ビジネス・起業

マカティでオフィスを借りる!賃貸契約の相場と初期費用の内訳

マニラ・マカティでオフィスを借りるときの賃料相場(平米単価)と初期費用の内訳を現地在住13年の日本人が解説します。保証金・前家賃・共益費・内装費の目安、契約書で確認すべき値上げ条項や原状回復の注意点まで、フィリピンでの会社設立後のオフィス探しに役立つ実務ガイドです。

2026/7/21

フィリピンの最低賃金制度とは|マニラ首都圏と地方都市の格差を最新レートで比較
ビジネス・起業

フィリピンの最低賃金制度とは|マニラ首都圏と地方都市の格差を最新レートで比較

フィリピンの最低賃金は地域ごとに日給ベースで決まります。2026年最新のマニラ首都圏(NCR)と地方都市のレート比較、約1.7倍の格差の理由、雇用主が見るべき人件費の総額まで、在比日本人向けにわかりやすく解説します。

2026/7/20